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ひなたと奏汰。

今日の奏汰当番の俺は噴水の傍らに腰を下ろして奏汰に引きずられない様に距離を開けて参考書を開く。あとで科学の先生に聞きたいところの要点を洗い出していると、ざぶざぶ鳴らしてぷかぷかしている。あれやこれやとしていると奏汰が俺の背後を取る。

「なりもぷかぷかしましょう〜」
「いや、やらないから。あと5分したら出すぞ。」

そう断って、また距離を開ける。さっきから40秒ごとにこれなのだから、勘弁してほしい。頭を抱えていると、大丈夫ですか?とピンクのヘッドフォンの男の子が問いかけた。ネクタイの色は一年の色だったのを見て、あぁ奏汰を知らないんだなぁ。と思う。

「ここから離れたほうがいいよ?面倒なことに関わりたくないならね。」
「面倒ですか?」
「そう。噴水のばけものに浚われたりすると面倒だよ?」

後がむっとする気配を感じる。昨年一年のあれやそれがあったので、気配に敏くなったのはいいことなのか悪い事なのか。俺はそういうと一年生は首を傾げて、俺の背後を見つめていることに気づく。俺の背後に居そうなのなんて奏汰なわけなんだけど。俺はやばいと思って振り返ると噴水の中で立っている奏汰がいた。

「先輩、危ない!!」

後から聞こえた瞬間に視界が色を変えた。俺の腕を引っ張る奏汰と反対側の一年生。こら!お前も濡れるから離れなさい!っていうか痛い!!両方から引っ張るから…反作用の力だ!!と俺は物理の答えを出したが。実際には違うし、最終的に一年生もまとめて噴水にこんにちは。した。
勿論千秋経由でがっつり叱ってもらった。


真とみか

一之瀬くん!お願いだよ!ボクを助けると思ってさ!と言うから、今度千秋から逃げるための口実に何度か使うというのを約束させて、俺は勉強をみることにした。…お前、何でおれ頼ってんの?

「だーかーらー。ここのxにさっき出した答えを入れてー。」
「あぁ、そっか。ここをこうして。」
「そうそう。またわかんなかったら呼んで。」

ほったらかしにするんじゃない、俺も俺で勉強してるんだから。断じて。それも約束の中の一つだ。

「いやー助かったよ。一之瀬くん。こんなに快諾してくれるなんて!」
「俺のついででいいって言うからだよ。遊木、そこ間違ってんぞ。」
「えぇっ!?」

二人でわいわいやりながら教科書を使って問題をといていると、影片が教室のドアをノックした。俺と遊木の目がそっちを向くと、連絡やねんけど〜明星くん知らん?。と言うから、とりあえず机の周りに座るように促すと、あんがとさん。とまぁ格式高いユニットに似あわない様な笑顔で俺の左側に座る。

「明星呼ぶ?」
「迷惑じゃないん?」
「呼ぶだけなら労力ないし。」
「なら、お言葉に甘えて。おおきに。」

明星、喋られたくないヒミツを言われたくなかったら3分以内に教室戻ってこい。とだけメッセージを送ると今バスケ部だから!!5分!!って言われたので、じゃあ5分な。と手早く連絡を取り合って、明星5分でくるってさ。と事のあらましを伝えると、明星が3分ほどでやってきた。二人は何でそんな呼び寄せたの?と視線を投げられたが、俺はにっこり笑って黙っていることにした。


颯馬と晃牙

また異種格闘技戦でもやるのかと思った。集められた、神崎と大神と俺。武士とロックとアクション。戦闘になると誰が…凶器もってるんだから神崎かなぁ。とかどうでもいい思考をしてると、どうも集めた原因が蓮巳と知る。神崎からのリークだからほぼ間違いないだろう。

「うげっ…説教にしかならない気がしてきた。」
「頭痛か?」
「頭痛ならどんだけいいんだろうな。大神帰るぞ。」
「待たれよ!一之瀬殿、大神殿。」
「ザッキ〜お前も帰るぞ。」

皆で帰れば怖くない。そう大神と二人で言葉を発したら、俺たちの出ようとしたドアと反対側から蓮巳が現れた。
ちょっとの沈黙の後、蓮巳ごめんな!大神、神崎。逃げるぞ!と俺の号令で大神と俺は走り出した。神崎はどうするかと逡巡したようなので、俺は完全に巻き込むことにした。急転回して、神崎の腕を掴んで、俺は三人で逃亡を開始した。ちなみにこの後、めちゃくちゃ神崎に怒られたが、蓮巳よりましだし、斬撃を避けるのに肝冷やしたけれど、これはこれで面白かった。ていうか、次蓮巳と顔あわせらんねぇな。と呟くと、大神は笑った。

「説教とわかっててやってられっか。」
「だよなー。」
「大神殿…一之瀬殿。」
「ん?なんだ?神崎?」
「うしろ…」

俺と大神の悲鳴が上がったのはお察し。




アドニスと真緒。

「衣更助けてー。千秋から匿って!」
「おい、隣クラスまで来るなって!」
「開始三秒で、2年A組まで戻すのやめてもらっていいですか?」

例にも漏れず、千秋がやってくる気配がしてる。ので隣クラスに助けを求めに行ったら、自分のクラスに返された。俺も飛び出して帰りたいけれど、今日は絶対にここを聞こう!って思ってた部分があるから、困ってるのだ。

「一之瀬、困ってるのか?」
「助けて。マジ。乙狩。俺のエネルギーがなくなる。あんなのと絡んでたら。」
「えねるぎーがたりない?よく解らないが、肉を食え。一之瀬は体が細い。」
「そうじゃない。違う。省エネルギーで太らず生きてたいの。」

もう今日流星隊の練習もバスケ部もしてる気分じゃない。まじむり。今日こそ勉強しようって思ってたのに。マジ困ってる。この際だから、いっそのこと千秋にしばらく眠ってもらおうかと紫呼応を走らせていると、俺の様子を見てか、その守沢先輩を止めればいいのか?というから、そうだよ。と返事をする。三毛縞のDNA半分ぐらい受け継いでるから、なかなか止めらんないけど。と言うと、乙狩が一瞬止まった。そういえば三毛縞、陸上部部長だったな。

「すまない、一之瀬。俺には止められない。あの先輩は止められない。」
「なりー!!」

ほら聞こえてきた声に俺は泣きそうになりながら乙狩になんとかして。と頼んだのだが、首を縦に振ってくれず俺は泣く泣く連行されたのであった。もうやだ。流星隊なんてしらない。俺はモブで居たいよ!!!まじ、もう引きずられていつものレッスン場についたら、一年たちは生暖かい目で見てるし。もう、まじなんなの。衣更―!!


翠と嵐。

隣クラスに逃げ込むと、そこには鳴上しかいなかった。衣更め、逃げたな。

「あら、一之瀬くん?」
「ちょっとの間匿ってくんない?」
「このあいだ、真緒ちゃんに同じこといってたでしょ?聞いたわよ?」
「今日も今日とて俺は職員室に行って帰りたいのに、今日は一年が迎えに来るっていうから、ほんと追い返すネタがなくなってきたんだ!」

この通り!今度食堂のから揚げ奢るから!と拝み倒して、鳴上から了承を貰う。俺に話を合わせてくれ。と言っていれば、俺の背後に一人立った。

「一之瀬先輩?」
「おっ、おう。翠。迎えに来てくれたんだけどさ。今鳴上と話が盛り上がってさ!」

後から行く。と言おうとする前に、全部聞いてたんで駄目です。と言う。まじかよ。俺はがっくりうなだれると、あんまり無理させちゃ駄目よ。と鳴上に売られた。唐揚げはいらないという宣言に、俺は泣きそうになりながら、翠になぁ?一緒に帰ってしまわない?と提案したが、あとがめんどくさいので嫌です。って断られた。もう俺は地面にへばりついたけど、長身族のパワーによって回収された。気の毒に思われたのか、逆に鳴上が唐揚げ奢ってくれた。翠の分も。なんで???




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