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とりあえず集合先のレッスン室で柔軟をしてると、へこたれない後輩明星がやってきた。あっくんと俺を呼びながら抱きついてくるので俺は、熱いから離れろと掌で明星のがっつり押し返す。やめとけと氷鷹にいなされて俺は明星から離れることに成功する。

「うんうん、みんな集まってるね!レストラン側の要望としては、周年記念でライブをして大体的に宣伝してほしいみたい。」

俺たちはクラスメイトとライブをして思い出を作れるし、レストランは新規顧客を獲得できる、これぞ一挙両得だよ〜!と俺に教えてくれる。へーそういう方向なんだと俺は理解する。どっちも得があるというらしい、へぇへぇ。なんでもいいです。そんなバックボーンとか、そこまできちんと知らないけど。とりあえずそこのレストランで俺らはライブ。それだけ知れれば十分だよね。

「それよりもライブ名をどうしよっか?俺も考えてきたんだけどね。ずばり【仲良しライブ】なんてどう?」
「バルくん、それだと仲良しな人たちが集まってるって勘違いされちゃうヨ。」
「えっ、仲良しじゃないの?ううん?夏目は素直じゃないから口に出して言えないだけで、本心は違うって知ってるよ!」
「いや、俺も本来学年違うし……仲良し……っていうのは違うじゃん。」

えーあっくん!って言われてまた抱きつかれる。わかったわかった、俺はもう何でもいいです。降参だと俺は白旗を振る。やったー!これであっくんの投票が無効だから、これで奇数になるから多数決取れるよ!……そうですか。はいはい。もう好きにして。と俺は呆れる。はぁ、と息を付けば、ちょっと口に出すのは恥ずかしいと氷鷹が言う。うんうん、ほらほらもっとやれ。と心の中で氷鷹を応援する。うーんと悩んでる氷鷹に、「じゃあ、【クラスライブ】とかどう?何のひねりもないけれど、クラスの皆でライブをするんだから」どうかな?と遊木が提案する。うん、さっきよりいいと思うよ!俺一年後の後輩に混ざってるのちょっと恥ずかしいからそっちのほうが安心できるよ。遊木の言葉に神崎がのっかる。

「あっくんも異論ないよね!」
「好きにして……ん?」

窓の外を見るとあんずがビデオカメラを持って俺たちを収めてる。明星があんずのところに駆け寄った。手にビデオカメラ持ってるけど、それ取りに戻ってたの?記念に動画を作るの。とあんずの声を聴きながら、俺は遊木にもらった練習偽に袖を通す。熱いのでいつものスタイル。ジャージの上は腰で結ぶ。

「あっくん、あっくん。カメラに向かってピースピース!」
「ちょ、まっ!俺今着替えてるの!あんずもこっち撮んな!」
「あ、ごめんね!」

カットしとけ!と俺が言うと、もちろん!って言いつつあんず嬉しそうなのが怖いんだけど。とちょっとビビって二三歩下がる。なんでこんな学校の面々は個性的すぎる。なんで俺隣クラスじゃないんだろうと胃がしくしくする。もう、いやあとちょっとで終わりだしいいよ。うん、なんでもこい。と諦める。

「はい、なりくん!差し入れのおにぎり。」
「……あ、はい。あとで食べるね……」

おにぎりを受け取って飲み水の横におにぎりを置いておく。食べないのか?と神崎に言われたが始まる前に補給食食べちゃった事を言っておく。そのまま柔軟を念入りにやっておく。ねぇねぇあっくん!。あっくんってすごいいつも柔軟するよね。と遊木に話しかけられる。んーまぁ、可動域狭いと下手し事故とかおこるし。というと、おしえてもらっていい?と言われるので、んーと思い出しながらルーティンの説明をする。遊木と並んで一通りやって、五分後もいっかいやると差がわかるよ。と伝えると、遊木はやってみるね!と五分後に一緒にやろう!と言われるので、へいへい。と返事をする。

「一之瀬と遊木がそうやって並んでると、弟の面倒を見疲れた兄と遊んでほしい弟だな。」
「お前ら全員弟だよ。」
「えーなになに?ウッキ〜とあっくん、何の話何の話?」
「見て見ろ、氷鷹。変な弟連れてきたぞ」
「あはは、みんなまだ練習してないのに、もう休憩モードにはいっちゃった。」

あんずちゃ〜ん、僕のことはあんまりとらないでほしいなぁ?と苦笑いを浮かべて、カメラから俺の後ろに隠れる。まぁ、いいけど。うん。昔からスタントでカメラ慣れしてるので、俺は気にせずふーん。あっそ。と返事をして欠伸を一つ。ウッキ〜のことはこっそり隠し撮りするといいよ!ワカメさんがやってるみたいに。と言うので、そのワカメが瀬名だと理解して、あーと俺は声をこぼす。そんな事実に動揺して明星に詰め寄ったりする。何度かその境遇を見てたりするので、あーと思い浮かべながら、はぁ。と俺はため息ひとつ。
「ほらー練習するよー」という声を聴いて、さっさと遊木と最後の柔軟を済ませる。可動域が増えた!と喜んでるので、やってみるといいよ。と伝えて、俺たちは練習に突入する。あんずのカメラに取られつつも俺たちは音楽と振りを始めていくのだった。




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