俺とスカウト ゴンドラ 1 





携帯のアラームがなるので目が覚める。いつもの通り隣で眠るつむぎくんを起こすのだが、なかなか起きないので、いつもの通りキスしません宣言でつむぎくんを釣りあげることに成功する。起きたので約束の寝起きのキス。昔つむぎくんが起きなさすぎてなにをするかと考えてイタズラ心が芽生えて起きないとキスすんぞ。としてたのだが、最近しません。と宣言したた起きるようになった。こいつ、将来大丈夫か?って不安になります、大丈夫でしょうか。俺。
とりあえずつむぎくんが起きたことを確認してから台所に向かう。トースターに二人分の食パンを突っ込んでからココアとホットチョコレートの支度。あと適当にサラダ。寝る前と台所の様子が違うので、つむぎのお袋さんはどうも昨日の夜遅くに帰ってきて、適当に何か作って食べたようだ。洗い場に食器が浸けられてるのを見て、ついでに片付けておく。パンが焼けてきた頃につむぎくんが降りてきて、テレビの占いをつけるのでそれを見ながら、朝のご飯。俺1位じゃん。ラッキーとか思いつつ、つむぎくんがああだこうだと勝手に不安がるので察した時点で俺はリモコンを強奪することが多々あるけれど、今日はどうかとテレビを見ると、つむぎくんの星占いはものの見事に最下位。ラッキーアイテムやラッキーナンバーがテレビに写ったのをちらりと見ると、ピンクと4と蟹座の男性。

「ゆらぎくん、今日は一緒に居てもいいですか?」
「そんな熱狂的信者的な目で見られても困るんですけど。」
「可愛い弟を助けてくださいよ〜。」
「こういう時だけ可愛いっていう?別に今日は……予定はないからいいんだえどさ。」

どうせつむぎくんのことだから、お守りとかいっぱいつけてくるんでしょ?さっさと食べて支度してきなよ。俺の分は要らないから。って言ってもつむぎくんは俺の分も準備をするのだろう。つむぎくんは食べる速度をあげて、一通り食べ終わると、さっさと部屋に戻って、どったんばったんひっくり返している。俺も急いで食べないと、つむぎくんの不運に何度巻き込まれるかわからないので、早い目に出た方がいいだろうと判断する。経験者は語る。
俺はパンにたっぷりスプレッドを塗りたくって、食事を急ぐ。サラダの量多すぎて苦しいがとりあえず食べきって食器を片付けてから、制服に着替えるために部屋を移動する。子ども部屋基、俺とつむぎくんの部屋に入れば、部屋一面に広げられたお守りの数にうわぁ。と漏れた。

「ゆらぎくん、ピンクのお守りの数が足りてなくて。」
「これピンクじゃないの?」
「それ恋愛成就の……」
「お守りだろ?」
「お守りですけど、厄除けとかのがいいんじゃないですかっ!」
「守ってくれるって、たぶん。」
「そんな適当じゃダメですよ〜」

根拠!と促されるが、もう面倒なので、俺がいるからいいでしょ!と言い切ってやると、つむぎくんが照れた。おい、それ俺が照れる方。普通は。…っていうか、元救いの子が救えるのか知らねえけど。
とりあえず方向性が決まったので、俺は先に制服に着替える。二人でどたばたと準備を行って時計を見るといつもよりかは早いが、それでも早くつくことに越したことはないだろう。夕方から雨が降ると言ってたな、時計の字幕にかいてあった天気予報を思い出して家を二人で出た。
結論。ラッキーパーソンなんて信用するな。
結局トータル5回家に帰ることになった。傘が壊れてたことに気がついて取りに帰り、つむぎくんが側溝にはまったり、トラックに水溜まりの水を引っかけられて俺まで濡れ鼠になったりして、もう6回目を行ってる時間もなかったので濡れたまま登校し遅刻ギリギリで、ついで俺とつむぎくんは学院の洗濯機を借りて、乾くまで体操服で授業受けることになった。今日は家帰って残りの制服洗わねば、雨だし明日までに乾くかなぁと乾かなかったらどうしようかな。と主婦みたいなことを考えつつ、放課後本の整理があるから一緒に来てほしい。と言われたので、俺はわかったと返事をして俺は自分のクラスに入る。隣からわぁ!と声がしたので顔だけ出してみれば、つむぎくん。黒板消しトラップにひかかっていた。おい、日々樹だろ、仕込んだの。
どうも星占い1位は最下位を救えないし、元救いの子はほんとに人を救えないのだった。受けちゃいけないけど、ウケる。
乾いた笑いを浮かべてると、羽風と瀬名に時間割間違えてるよ体育は明日。ってめちゃくちゃ笑われたので、こういうことがあったよ。って説明したら、ドン引きされた。ちなみに俺も毎朝ラッキーアイテムだけは持たされてるし、今日のラッキーアイテム、レモン飴だったのでポケットには入ってるけど、これ食べるべきかな?と近くの守沢に聞いたら、食べたらなくなるだろう?と言って、ママの味がする微妙に柔らかい飴をくれたので、それを口の中に入れた瞬間蓮巳に見つかって、驚いてのどにつまりかけて死ぬかと思って焦った。
今日一日というか半日も過ぎてないのに、つむぎくんに幸運でも吸われてるのかなって錯覚した。まぁ、考えすぎじゃない?と瀬名に言われたので、そういうことにしておこう。いや、あいつは運命は自分で切り開くタイプでしたね。はい。そりゃあ信じねえわ。俺も信じないけど。
休憩時間につむぎくんからのスマホの連絡が入るので、内容を見たらなんでセンパイを占わないといけないノ?といつもの夏目節が炸裂してやがったので、俺が夏目に連絡をいれると二つ返事で内容を送ってくれた。なんだよこの対応の差は。お前ももうちょっと自分のユニットの先輩に優しくしてやれって。思っていることを送っておくと善処する。って書いてるけど、お前そんなつもりないだろう。あいつ泣くぞ。
とりあえず中身を見ると水難の相がつむぎくんに出ているらしい、そして俺も軽い目の水難が入ってるってさ。俺の情報はいらなかった。本気で。もしかして、俺一人の蟹座のパワーじゃ足りないとかそんな話?……いや、ないない。ないよ。ないですよねー。出力問題とか、ねえわ。考えるのやめた、だって授業だし。



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