俺とスカウト 悪魔の館。 1 





俺が今巻き込まれてる現場はカオスだった。現場からは以上、そして俺は朔間弟に懐かれて困ってます。脳内会議所送レ。いや、寝床作ったのは俺だけどよ。寝床近くの椅子に腰かけると、朔間弟が俺の膝の上で寛いでるの。意味わかんない。鳴上かお前の幼なじみにでもして貰ってくれ。とか思いつつ俺は、今度の原案の用紙を書き込む。

「どうでもいいんだけど、一番上のお兄ちゃん。ちょっと良いかな?」
「凛月、いま我輩のことをお兄ちゃんと!?」
「朔間、お前、やめろ!!」

嬉しくなったのはわかるが俺を振るな。お前と俺の仲だからまだいいけど、これが斎宮なら口喧嘩勃発レベルだ。まぁ、クロワッサンで買収するが。やめろ、今はその話じゃない。俺をある程度揺すぶって満足したのか、俺から手を離して、凛月〜かわいい凛月!!と朔間は自分の弟の方に飛び込んだ。必然的に俺が間にいるわけで、朔間サンドイッチの具材になるわけだが、凛月お前も人の事一番上のお兄ちゃん。とか言うわりに俺を盾に使うな。苦しい。

「ようやく昔のように兄に甘えてくれる愛らしい弟に戻ってくれたんじゃなっ。我輩はその日を前世から待っておったよ〜、おいでおいでおいで!プリティスイートマイエンジェル凛月〜っ、我輩の胸に飛び込んでくるがいい。お兄ちゃんがたっぷり包容してあげゆっ、おいでおいでおいで!」なんて朔間が言うが、それ俺です。しかも抱きつかれてます。そして俺はお前の弟じゃありません。首を閉めるな。目を開け、前をよく見ろ。お前の弟は黒髪であって濃紺みたいな青じゃねえだろ、な朔間。つむぎくんがわたわたしながら、零くんそれ俺の兄のゆらぎくんですよ。そんな助け船があってようやく解放される。俺と言う盾を無くした朔間弟こと凛月は、俺の横からするりとぬけて、ねえ『青葉の二番目のお兄ちゃん』さっきから知らない人が話しかけてくるんだけど。と甘えた声を出してる。俺ですらつむぎくんからお兄ちゃんなんて呼んでもらった覚えはない。まぁ、最近家族になったばかりで呼びにくいと思うけどさ。

「何なの。キモいんだけど。」
「!?えぇっ、どういうことなんじゃ青葉くんや?『青葉のお兄ちゃんんたち』って何なんじゃ。凛月のお兄ちゃんは我輩だけじゃけど!?」
「あはは、よくわかんないですけど、いろいろ親切にしてたら二人してなついてくれたみたいなんです。」

素っ気なく見えるのに凛月くんって意外と猫ちゃんみたいなところがありますよね。なんて話していると、凛月はごろごろ喉をならしながら炭酸買ってきて。とか言ってるけど。おい、朔間家。どんな教育してんだよ。なんて俺はひっそり思う。つむぎくんも返事をしないの。この弟たちは、と飽きれ首をふる。今回だけって言いながらいつも特別に甘やかしてくれるお兄ちゃん達が大好き!と満面の笑み。これ、お前計略入ってるだろ。なんて俺はおもうが、その兄はすっかりはまってしまったようだ。

「零くん?どうしました?何かびくびくって全身が痙攣してますけど。」
「どうせ、ブラコンだろ。」

何年も付き合いしてると、その辺りはよくわかるよ。疲れて本を読むのもやめて、そのまま俺は鞄に書類をひっつかむ。あぁあ俺は知らない。と言わんばかりに、書類を全部鞄に納めると、朔間の低い声が聞こえる。
つむぎ。俺の名前を呼んでもないのに背中に冷たい汗が流れた。そんな事に気づかないつむぎくんは嬉しそうに昔みたいに呼んでくれるんですね。嬉しいですね。やっぱり友達なのに苗字で呼ばれるなんてちょっと他人行儀で残念ですし。なんて言っているが。あの朔間兄に触れるべきじゃない。と口を開きかけると、ほぼ涙目の朔間零が、小学生並みのボキャブラリーで俺達青葉兄弟を詰って、逃げ去った。かわいい凛月が変な眼鏡と、踊りバカに寝盗られた。とか根も葉もない噂を、ってか人の弟捕まえて変な眼鏡とはなんだ、朔間!オイゴルァ。と声をあげると同時に、朔間兄は消えて行った。最後に呪詛を吐いてたので、はきかえしてやろうかと思ったが、それをやる前に朔間は消えてった。

「……ふん、ばっかみたい。実際馬鹿はどっちなんだろうねえ。お兄ちゃんたち。」

クスクス笑う凛月の声だけが図書室に残ったのだった。いや、今のなにだったの?兄弟喧嘩?朔間の?なんかよくわかんないんだけど。俺はつむぎくんと顔を見合せて二人で首を傾げるばかりだった。なんだったんだ、朔間は。朔間零は。いまいちよくわからない。謎だ。首を傾げて、朔間が開けっぱなしにしたドアをぼんやりと俺達三人は見ていた。で、あいつ。なにしに来たのさ。だれか、説明ぷりーず。いや、誰も教えてくれないけどさ。もういみわかんないよね。俺も、どうしていいかわかんないから、俺とつむぎくんの間で嬉しそうにゴロゴロ喉を鳴らす凛月をどうするわけでもなくほったらかすのだった。

「あ、ゆらぎくん。放課後。買い出しに行きませんか?」
「俺?夜飯買い出しと。つむぎくんが声かけるんだから。手芸でもいくの?」
「そうなんですー。夏目くんも宙くんも用事があるっていってたので。ゆらぎくんなら、どうかな?って。」
「ねえねえ青葉のお兄ちゃんたち、俺も、いっていい?俺なら、力余ってるよ。夜明けまで暇だし。」
「本当ですか〜ゆらぎくん一人だとちょっと不安だったので。お願いしてもいいですか?凛月くん。」

謎に一人増えた。いいけど。悪かったねぇ、荷物持ちにもそんなにならない戦力で。えぇ、膨れてませんとも。妬いてません。とも、朝のつむぎくんが見れるなら俺は文句はいいませーん。はい。



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