俺と春風 アイコニックなブックフェア 1 





放課後、家に帰るかー。なんて言いつつ鞄を背負って歩き出しているとつむぎくんから連絡が来た。この部屋まで来てください、とか言われたけどどこだよ。と頭を抱えてると、同じクラスの瀬名が「青葉、いる〜?、うちがいつも借りてるレッスン室集合。」とか言われた。なんだよ呼び出しかよ。っていうかつむぎくんになんか指定されてるんだけど。と瀬名に伝えれば、あぁそれ。同じ内容だから。とか言うとサッサと行ってしまった。まって、俺、そんなに早くもあるけんわ。
慌ててよたよた追いかけて部屋に入ると、練習着姿のつむぎくんが遅かったですね〜。でも間に合いましたね。と言いつつ俺に手を振る。まって、なにこの部屋。つむぎくんが部屋の中心といわんばかりに立って、近くに『Knight』の面々と遊木、転校生が俺を見ていた。

「なにこれ?」
「なにこれって、話してませんでしたっけ?繁華街で開催されるブックフェアに『Knights』の皆さんと一緒に盛り上げるお仕事をやるので、ゆらぎくんには演奏してほしいんですよね。」

聞いてねえよ。っていうか、お前ら盛り上げる仕事なのになんでレッスン着を着るの?突っ込みがいっぱい産まれたが、つむぎくんがはい。と椅子とプリントを渡してくれるのでそれに腰掛け流し読む。っていうか、今さっき言ったこととおんなじこと書いてるけど。そのままつむぎくんが説明してる中で、遊木が小さな悲鳴を上げて、俺の後ろに隠れた。

「青葉そこどいて!ゆうくん!なんでそんな男に隠れるの?照れなくてもいいんだよ?『よしよし』してあげる」
「照れてないから!あぁもう、本当に気持ち悪い!お願いだから近くに来ないでってば!」

おめえがこええよ。瀬名。とか顔をひきつらせていると、鳴上が瀬名を引き離した。ごめんなさいなねえ。泉ちゃんが。と言うが多分俺じゃなくて、遊木に言った方がいいぞ?といいか瀬名が暴れてる。

「ちょっ、邪魔しないで!俺はゆうくんがいるって聞いて、この仕事を引き受けることにしたんだよぉ?」
「決定権は鳴上じゃなかったか?」

あんたは黙ってて。と怒られたので、そう。と俺は瀬名からつむぎくんに目を向けた。後ろでやだやだと言わんばかりに遊木が寄ってきたのってもしや、俺が一番年上だから?首をかしげてると、このまま話が進まないから泉ちゃんは遊木クンに絡むのはやめなさい。とピシャリと鳴上が言い切ったが、残念なことにクレイジーサイコパス瀬名は俺を挟んで遊木と左右に揺れてる。やめてくれ。視界でチラチラと動いている。ってか、まとまりがつかん。転校生がなんとかするかと思ったがわたわたと俺たちを見ていた。そうだよな。

「そうそう、これ、ゆらぎくんの練習着ですよ」
「いや、ブックフェアに練習着っているの?」

『Knights』の皆さんと『Diana』のゆらぎくんにどんな衣装を来てもらおうかな〜とかいろいろ考えてたらいつの間にか出来上がってました。そんな感じで、ブックフェア当日も格好いい衣装を着て立っていてくれるだけで、十分集客に繋がると思ってます。手持ちぶさたになるようでしたら、小さい子に読み聞かせしたりしてくれると助かっちゃいます。ゆらぎくんは演奏と対応をお願いしようかなと。
そんなつむぎくんの考えに嬉しそうに『Knights』のあんまり知らない一年が嬉しそうに張り切っている。…ってか演奏って、なにすんだ?

「転校生ちゃんは衣装作りを手伝ってくれるのかしら?」
「『Knights』と『Diana』の分は俺が作る予定でいますよ。ただ手が遅いので遊木くんのはあんずちゃんにお願いしようかな。と思ってます。」

つむぎくんが嬉しそうにいうが、あいつ絶対に自分を換算してないだろ。もう、転校生にでも話つけとこう。と俺はひっそり決める。ちょーっと抜けてるよな。と思いつつそのまま説明を聞く。つむぎくんに音がほしいと言われたが、何系がいるの?エスニック?クラシック?ケルト?アイリッシュ?長時間吹いても楽しい楽器を思い浮かべていると、払える報酬がないんですよ。という言葉が聞こえて、俺はえ?と声を上げた。思いっきり声が大きかったようで、視線が集まった。

「はい、ブックフェアを手伝う見返りが貴重な本を貸してもらえる条件なので、皆さんに払える報酬がないんです。」
「まぁ、無いなら仕方ないね。構内で動けるのも一人じゃ限度あるし。つむぎくん今度衣装作ってよ。専用の。」

それぐらいなら構いませんよ。といってくれたので、今回の仕事の報酬はいつかのライブで着れるだろう衣装に落ち着く。この約束が俺の単独ライブで着る衣装になってるんだから、ほんと君っていろいろ考え込むよね。そんな話はおいといて、打ち合わせが段々カオスになってくる。収拾がつかないので、俺は俺なりのペースで話を進めさせてもらおう。

「つむぎくん音楽、どんなのがいいの?」
「そうですねぇ。一番汎用性のあるものですかねぇ。」
「じゃあ、普通になんでも使い回せそうなのがいいな。俺一人で荷物動かせないんだけど。」
「任せてください。俺が運びますよ。」

よし貴重な足ゲット。そこそこ重たい楽器もできるな。と考えると、あらァほんと青葉先輩ってなんでもできるのね。なんて鳴上がクスクス笑った。鳴上に頼んでユニットの音源でも借りて練習しとこうかな。と考える。朔間弟も寝出したので、打ち合わせはお開き。解散して転校生が離れようとするので呼び止めて、たぶんつむぎくんは自分の衣装の事なんも考えてなさそうだから、よろしくな。と伝えると、任せてください。と転校生は胸を叩いた。




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