俺と軌跡 電撃戦のオータムライブ 8 





ちゃっちゃか風呂を住ませて、つむぎくんと伏見の話を聞きながら飯につく。飯を終えてから、必死に書類仕事をこなしつつも俺の耳も働いている。とりあえず。明日はつむぎくんに衣更をまかせてしまおうか、とおもう。ほかは俺の地獄のトレーニングコースだよ。その後の様子をつむぎくんから聞いて、衣更とは面と向かおうかな、と判断する。そんな判断がつく頃にはつむぎくんの話も終わってしまって、二人はこちらを見ていた。俺が一閥なんて言われても、ほかのやつがパとトしてないからだよ。朔間たちとは学年も違った、同じライブに出ても俺が引っ張り上げてたらかそう見えただけだろう、と結論付ける。頂点に立っていたとはお伺いしていますが、そうだね。鳴り物だから目立ってたんだろうな。そこはたまたま上手いことあってただけだし。ほら、もうそんな話ないし、ユニット仲は外部的によく見えてたの。そんだけ。連絡役の俺以外は、どやってつるんでたかももうそんなに覚えてないの。いいだろ。それ以上は俺が話したくないこと。お前らに話しても俺も誰も晴れねえよ。と俺は手を叩く、俺の復讐劇にお前らは参加させねえの。

「話変えるけど、明日の予定確認してから寝るぞー」
「あ、さっきスマホ確認したら明日朝からあんずちゃんに俺は呼び出されてます。」
「俺は、明日朝一から『Trickstar』のダンスパート確認。伏見は?」
「明日来られる業者の指示と確認でございます」
「よし、確認終わり、あんずの話なんだったか、明日教えて。」
「もちろん、」

ほら、布団はいれよーと促して、俺は最後に電気の紐を握る。目覚ましを6時にセットして、目を閉じて開けば目覚ましがなってる。最近つかれてるのかね。と思うぐらいの気絶具合。イベント毎に体調を崩すぐらいに楽しみにしてるんだから、ほんと俺ガキメンタル。一人やれやれと首をふると伏見がすでに起きていた。もうすぐ朝御飯ですよ。と言われたので、つむぎくんを起こす。つむぎくーん。と揺すってもなかなか起きない。起きたら一発なんだが、その一発までが起きない。仕方がない。

「伏見、耳閉じてくんない?そして、1分ほど窓の外見といてくんない?」
「えぇ、わかりましたが。」

伏見が背中を向けるのを確認してから、俺はつむぎくんをの耳元で低く囁く。あと5秒で起きないとおはようのキスしないぞ。そんな一言を吐き出せば、稲穂の海を連想させるような黄色い瞳が開いた。眼鏡越しじゃない瞳ってひさしぶりだな。とか思考する間もなく、つむぎくんが俺の服をつかんで、せがむ。はいはい、と返事をしてそのままつむぎくんがの唇を軽くふさぐ。起きないときはこうしないと起きないの、勘弁してよ。ほんとにもう。
伏見がくつくつ笑ってるし、窓の反射で伏見の顔が見えた。おいこら、見るなって言ってるだろ。明日から俺別の部屋で寝るよ。うん。そうだね。『trickstar』と一緒に枕投げしよ。で伏見にしばかれよ。そうだ、それがいいい。つむぎくんをなんとか起こして、三人で朝飯を取って『Trickstar』と合流して、秀越学園に向かう。
朝から一通りのパフォーマンスレッスン。足あげろ!揃えろ!と俺の怒声が飛ぶ、衣更がいないので衣更の場所に代理でたつので、俺は基本的に隣に合わせる。遊木両隣見てるか!と声を張り上げつつ、明星がつんのめる。そのまま、俺はも一回するぞーと高さ意識しろよー。ずれてると、気持ち悪いからな。と言いつつプレイヤーを操作する。ちょっと難しいフォーメーションをいれたが、頭の中は乱の言葉でいっぱいだった。ぼんやりしていたからか、先輩!と大きな声で呼ばれて正面の鏡を見ると、明星の腕が俺の顔面に炸裂した。

「いてっ!」
「青い先輩のお兄さん!」
「踊れ!そのままいいから!」

よたっと、したが、そのまま一曲流しきる。鼻から違和感バリバリするけど、たぶん鼻血出てそう。そのまま必死になってすすりながら、踊る。音が鳴り止まって、そこで一旦プレイヤーを切ると、青葉先輩。と氷鷹やらがよってくる。カバンの中にティッシュがあったはずなので、そのままカバンを漁って一気に鼻に詰め込んで明星のほうに寄る。きちんと鼻の骨辺りを押さえながら、接触事故はすまんかった、明星に問題ないか?怪我ないか?と確認すると、俺は全然なにもないよ。それよりも青い先輩のお兄さんのほうが大変そう!と言われたので、まぁそうだわな。と一人頷く。

「昨日の乱の言葉を考えてた。すまん。」
「俺は大丈夫だよ。」
「ならいいんだが、怪我だけはすんなよ。次一回流したら伏見の方みてくるから、最後流すぞ。」

返事!と声をだせば、はい、と声が聞こえたのでライブ一回分の音を流しきる。
スポットライトもなにもないけど、音が流れてるなら俺が踊って良い証明だと俺はいつもの通りに思いの丈をぶつけるように踊る。昨日おもいっきり踊ったあとだからか、体がひどく軽い。俺はもう一人ユニットみたいなもんだから、ドリフェス的なものには出れないし、生徒会にコネは作ってないので、目をつぶってくれることもないだろう。だからリハーサルが俺のライブみたいなもんだ。アイドル専用ダンサーってかっけーとかおもうけど、そうじゃないよ。うん。俺今そんな立ち位置みたいだけどさ。いいの、ほっといて。音に合わせて、そのままターンを一つ。ぐるっと回れば、その咲フォーメーションチェンジだ。氷鷹調子いいな!もっと鋭く!と声を上げて、移動する。足がつってもそのまま俺は気にせず躍り続け、一瞬痛みで顔をひきつらせたが、それでも笑顔をなんとか保って、音が鳴り終わると同時に俺もみんなふらっとよろける。音が止まって、俺は真っ先に悲鳴を上げた。
こむら返りこむら返り!と叫びながら俺は壁に片足で跳ねて、ぐっとつった足を伸ばす。

「青葉先輩大丈夫ですか?」
「力入れて踏みすぎた!イデデデデ。」

ぎゅーっと足のすじを伸ばすように全体的に体重をかけてすじを伸ばしていく。ぎちぎち足から音がするが、それでも痛くても伸ばさなければならない。ひぃっ。と声が出るが、青葉先輩ってやっぱりすごいよね。と言われる。ふと視線を上げると遊木が言ったみたいだ

「事故で踊れなくなったんですよね。それで死ぬほどリハビリしたって聞きました」
「そうだよ。踊るためだよ。」

踊るため、踊るために俺は仲間を捨てたんだよ。よし、足ももどったし俺伏見のところ。行くからな。と念を押して部屋を出る。部屋を出ると七種がいた。

「七種さん。」
「私のことは茨とお呼びください。一閥様」
「ふーん。そう。七種さんよ、なに考えてるんだろうね。どっちがか、わかんないけどさ。」
「なんのことでしょう?」
「ま、言ってもわかんないならさ、俺そんな名前もうとっくに捨ててるよ。」

たぶんね。と付け足して笑う。お前たちがどれだけ俺の逆鱗に触れてもさ、そのあたりは全然ぬるい逆鱗だから問題ないよ。一番の逆鱗はわかってるんだろうけどさ。にっこり笑って俺はどんだけでもなにしてもいいよ、それでも触れちゃいけない最大の傷に触れてみろ。徹底的に嫌われたって俺はどんな手を使ってもお前たちをぶっ潰すからな。
にっこり笑って俺は釘を指す。七種は気にする素振りもなく、そのまま気を付けましょう。それはどんな逆鱗で?と言ってのけるから、見事に肝が座っていると判断する。ま、いつか調べてったらわかんじゃねえかな。神様はみてるみたいだぜ。とカラカラ笑ってやる。

「お互い、触れたくない傷なんて沢山もってるだろ?」

にやりと笑ってやると、ポケットから振動が一つ。すまんじゃあ行くな。と言いつつ携帯片手に移動を開始する。こういうことがあったよ、とつむぎくんからの連絡だった。補完する情報と共に、巴日和のほうにいってみるらしい。おっけーと返事をして、あとで話をつけておいても良いかもしれない。なんて思いつつ、俺は伏見のいるはずのステージ予定地に足を急げるのだった。
歩きながら、ふと俺は色々思考してみる。
ホテルのカメラ。偽造しやすそうな特待生権限のタブレット。衣更と、乱。つむぎが言っていた言葉。夜にでも考えてみるのが良いかもしれない。伏見に一回聞いてみるかな。あいつがあれだけ、ムキになってんだ。聞いてみてもいいかもしれない。こっちには『過去』というカードをきったんだ、多少のそれはあるだろうけれども、一つ。なにかできるかもしれない。と判断して、俺はスマホを取り出して、つむぎくんにかけてみる。つむぎくんのとなりに衣更がいるはずだ。通話ボタンを押すと、つむぎくんが出た。衣更に用事があるんだけどさ、連絡アプリのIDつむぎくん俺のやつ教えといてくんない?と言うと、わかりましたよーと二つ返事。
衣更とお茶でもしようかね。と思って、俺はさっさと伏見のほうに急ぐように歩き出した。



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