俺と軌跡 電撃戦のオータムライブ 3 





移動中に天祥院に連絡を取って息のかかった旅館に宿を変更して方向性を擦り合わせる。伏見に天祥院と連絡と説明を取ってもらう間に俺は秀越学園と顔合わせをする。ポッケにたまたま録音機が入っててたまたま電源スイッチはいってたけど、そうたまたまな。ノンノン故意。そのまま俺は向こうの代表的なのと打ち合わせを初める。七種と名乗る青年の瞳は、昔みた大人と同じ瞳をしてるな、と思いつつ話を進めた。ステージ内容はあんずの意向に沿った方向性の話を持ち出したが、どうも食い違っていて悪意を感じる。ホテルの一件もあるので、どうもそういう計略に長けた人物がいるらしいと俺ははしっこにメモを落とすそのまま折衷案に切り替えるように手はずを整えて行く。入室管理などのパスも含まれているタブレットを一時的貸し出しで受けとって、中のアプリやらを一通り流し見てみる。たぶん、あのホテルのカメラの事を考えると七種の方で見られているのだろう。明日には明星たちにもおなじものが渡るという。

「あーえっと、七種さん。」
「茨でかまいませんよ!夢ノ咲のトップに君臨していた一閥の青葉さんに呼ばれるならば、本望です」
「まぁ、他人行儀はしんどいもんな。そんな畏まらなくていいんだけどさ。そんな大それた人間じゃないし。んで、七種。」

後に報告として回そうと思っていたのですが、与えられていたホテルを先ほど視察してきたのですが、サポート要員の人数の都合上そちらのホテルでは多少手狭似なってしますので、与えていただいたことには感謝をしておりますが、近くの宿に変更させていただきました。事後報告になってしまって申し訳ありません、
やんわりそっと俺は軌道を変更するように話を切り替えていく。資料からそっと目を上げれば、七種は笑いながらこちらも要望を聞かずに申し訳ありません。と言っているが、そこまで目は笑ってない。こいつは、と思いながらも、俺はそのまま話を続ける。談笑しながらも話を戻そうとするので俺は制止しながら、主導権を握らせないように調整しながら会話を繰り広げていく。小さな頃から大人に囲まれていた俺の過去はこんなところでも役に立つのかと思いながらも、俺は納得する。

「閣下と顔見知りとお伺いしてましたが、お会いになられますか?」
「すれちがったりはしてるけど、俺はそんなに知らないよ。弟が一緒のユニットだったっていぐらいの薄い繋がりなだけで。」
「そうだったのですか?たまに閣下がお話しされてましたけれど」

弟に言わせれば、ひどく動物的といっていた記憶はあるが、なつかれている覚えもない。人気のない廊下で踊ってたら見られてた。とかいっていうぐらいの。いや、なんでもいいけど。明日は先にご挨拶に行くと思うので、今日はそこまでしなくても大丈夫ですよ。明日から一週間ほどこちらに通わせていただくことになってますし、「あ、あとで今回の音源と振りテープをお借りできますか?ちょっと今回の動きと動線と指導も振られているので。」俺の今回のメインだったりする。もちろん、俺のなかでな。他はちょちょいのちょいだよ。

「一閥のあなたがそこまでしなくても、問題ありませんよ?」
「いいえ、俺がやりたいだけなので。お気になさらず。」

ふとしゃべっていると、この構図に見覚えがあった。ハブとマングースだとふと頭のなかで思い浮かべたら最後。俺のなかでハブ七種とマングース俺の戦闘光景が見えた。いや、俺が戦うわけじゃないと思考を他所にやって、時計を見ると夜ご飯を超えた時間になっていた。ここで食べていかれますか?と聞かれたが、伏見と話をする必要もあるので、丁寧に辞退して次の会合の日程を決める。

「次はうちのコズプロトップもつれてくるので、明後日ぐらいでどうでしょう?その頃には舞台設定などもある程度整っているかと思いますよ。」
「そうですねそれではそうしましょう。」

強制的なとんとん拍子で決まりつつ、今日はありがとうございました失礼しますね。と俺は部屋を出掛けたときに、七種に呼び止められた。振り返り、なにか?と問えば、神は居ると思いますか?と聞かれた。んなもんいるわけねえだろ。と口が裂けてもいえないので猫をかぶり直して、七種さんの心の中に居ると思いますよ、隣人を愛せと言いますからね。と皮肉を返しておく。どうも、彼らはサポート部隊まで全部調べ上げているらしい、過去を見られた気がして俺はちょっとイライラしながら、七種を残して打ち合わせ会場を後にした。
あーくそ。とか俺は呟きながら秀越学園の廊下を抜ける。今夜は夢見が悪そうだと思いながらも、人に言えない過去。というのはすぐに足元をさらっていくのだからむかつく。神なんざいねーっての。いたら、俺なんていねーっての。宗教なんてくそくらえ。救いの子なんていねーの。俺にそんな力はないの。神に見捨てられた子が神の名を使ってるんだから笑い種ー。すがるものだけが救われるなんてない。世の中は全て地獄であり、わずかな安らぎこそが天つ国であるだなんてあるか、あのくそ親父が。もう今夜は確実に寝れねーな。小言をぶちぶち呟いているとつむぎくんの姿を見つけた。

「ゆらぎくん。」
「つむぎ?」
「あ、呼び捨て久しぶりですね!出会った頃みたいです〜」
「あーいや。考え事してたし、すまんね。」

どしたの?こっちに来るのは明日じゃないの?と問いかければ、明日だったのですが。ゆらぎくんの荷造りしてたら結局明日来るのも今日来るのも変わらないって伏見くんに言われて、ゆらぎくんの荷物と一緒に俺も来ちゃいました。ゆらぎくんの枕もちゃんと持ってきましたよ!と胸をはって言うつむぎくんはちょっと照れたように笑った。弱ってたメンタルにつむぎくんのこううところがグラッとくるよね。あぁもう。

「ダメ人間製造機つむぎくん…」
「俺そんな機械になった覚えないですけど?でも、まぁゆらぎくん専用ならいいかもしれませんね」

うつむいたら、どうしました?とかいって寄って俺の頭を撫でる。すこしひんやりしたつむぎくんの指が俺の髪を耳にかける。なぁ、つむぎくん。いや、お前はまだ俺の過去を知らなくていいよ。なんて思うのは俺のエゴなんだろうか。俺は最近お兄ちゃんになったばっかだから、正直よくはわからない。朔間だったらなんて考えるけど、あいにく俺は朔間じゃないし、あれほど人を上手く転がすことはできない。勝手になでくりまわされた俺は、一息ついてここが秀越学園だったことを思い出す。

「な、つむぎくん。俺、この学園でいろいろぶっ壊れてくかも知れないけど、許してね。」

相手がそういう奴なら俺は俺で仕込んでやるっての。伊達に一閥のなんて名前を冠ざしてないっつーの。ニッと笑った俺はどんな顔をしてるかは知らないが、とりあえず俺たち飯食うところから初めようぜ。取り繕ってカラカラ笑ってつむぎくんの肩を借りて動き出す。



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