俺と軌跡 電撃戦のオータムライブ 1 





朝飯食べてると、向かいにつむぎくんが座って、俺に朝一発目からの大問題発言を一つ落とす。今なんてった?まって、ぱーどん?もう一回ぷりーず。

「ゆらぎくん、俺は明日からしばらく学校には行きませんから。」
「ふぁ?」

え、お前いきなり不登校宣言!俺じゃ力になんない?いや、確かに非力だけどさ。でもさ学校につむぎくん居なかったら俺は学校に行く意味ないし、あでもつむぎくんにはつむぎくんの人生があるし。いや、それでもだよ。いじめ?まさか…いやつむぎくんと夏目のやりとり見てたら否定できない。っていうか、あの後輩に殴られっぱなしでいいの?『switch』は大丈夫なの?夏目は今までにいろいろあれだけど、宙なんてもう怪電波つねに受信中みたいなさ。すまんて、いや、こういう子こそプチっとしたらなにするかわかんないよね。一瞬にして様々なことが駿順したが、「夏目となんかあったの?」とか聞くとそんなんじゃないです!って言われた。辛い。さみしいじゃん。

「細かくは登校中に言いますから。早くご飯食べてください」

ゆらぎくん。移動には人の二倍ほどかかるんですから。と早く食事を済ませろと促されるのでもそもそ食べはじめる。トーストにべったりバターを塗りたくって、つむぎくんに塗りすぎとバターを取り上げられる。俺は人二倍食が細いのでこうして熱量をとらなければダメなんだよー。道端で男一人倒れると問題なんだってば。塩分じゃなくて油分!ニードカロリー!と訴えたが、置いてきますよ!なんて言われたら、勝つ統べない俺は弱い。かなしい、トースト一枚をなんとか押し込んで、珈琲で流し込む。

「じゃこチーズおかかのおにぎり作っておくのでゆらぎくん、早く着替えてください!そろそろ出る時間ですよ!」

やべ!とあわてて立ち上がりテーブルの天板で強かに足を打つ。いてっ。と声を出したが、我慢して背もたれにかけてあった杖を取り俺は制服に着替えるために移動しはじめる。ハンガーにひっかけてたカッターを着て、スラックスに履き替える。今日は暖かそうだな。とか思いつつ薄手のカーディガンを着込む。あつけりゃ脱げばいっか。ネクタイは結べるがつむぎくんのが上手なので、首から下げてカバンを背負ってリビングに戻る。

「あ!また、ネクタイ締めてないんですか?」
「行きしなにでもつけりゃあ問題ないだろ。」

蓮巳が怖くて教室に行けるかっての。ぼやくように口から吐くと、つむぎくんはははっと笑った。二人で行ってきます。と言いつつ玄関を閉めて登校する。俺が歩くの遅くて、それにつられてつむぎくんも早く家を出て、俺の速度に落として歩く。ああだこうだいいながら、会話する辺りは普通の兄弟にでも見えてるのかね。俺たち似てるしね。血が繋がってないけど、それでも似ているのはなにかあったのかな。って思うよね。それはいいとして。

「話戻すけど、学校いかないってどういうこと?」

…まさか、俺のこと嫌いになった?俺って足周りまだ治ってないし、バリアフリーじゃないとなかなか身動きとれないし、結構大きなお荷物だと自覚してるけど、間接的にそっと離れたら傷つくよ?つむぎくん?ああそうじゃないんですよー。秀越学園で『Trickstar』が校外のお仕事をしますから、それの泊まり込みでサポート要員としてお手伝いですよ。校内アルバイトとしても扱われてるので、かなり大きなものになってると思いますよ?知りませんか?そういえば、なんか保健室でうとうとしてたときに佐賀美ちゃんに言われて、適当にうなずいた記憶が出てきた。

「もしかして俺それ申請だした気がする。秀越って、あそこだよな。えっとー巴じゃないほう。」
「じゃないほう芸人じゃないですよもう。凪砂くんですよ乱凪砂くん。」

ゆらぎくん意外と人覚えるの苦手ですよね。他誰いるの?たしか、伏見くんが呼ばれてたのは覚えてますが。ちょっと佐賀美ちゃんとこ行って一回問い合わせしてから行くわ。向こうで会えるの楽しみにしてますね!ゆらぎくんと同じ部屋で寝泊まりなんていつぶりですかね。
満面の笑みで言うつむぎくんに、何ともいえない気持ちになりながらも俺はアイドル科の玄関でつむぎくんと別れる。そのまま保健室に直行して佐賀美ちゃんに問い合わせると、お前の出発日は今日だぞ?なんて言われて、俺は大きな悲鳴とつむぎくんに急遽大変なお願いをするのであった。

「つむぎくん、つむぎくん。お願いだから明日のつむぎくんの出発に合わせて、俺の枕と一週間分の下着…いや2日でもいいから持ってきて!!今日なんだって!!っていうか伏見と前のりで今から出発だって!俺枕がないと寝れないんだけど!いや、1日ぐらい徹夜なら別に昔から閉じ込めやらご祈祷的ななんやらで声を大にして言えないけど、まぁ徹夜は慣れてるからでもなんとかなるけど。ほんとつむぎくんお願いします。このとおりです!つむぎくんのカバンに余裕があれば枕を!!!下着は最悪買うから、せめて枕!枕!あの抱き枕ないと!まじ無理!!え?つむぎくんが抱き枕?そんなことせんでええから!!!」
「お前、枕がないと寝れないなんて子どもか」
「俺まだ高校生!!んもー!!佐賀美ちゃんもっと早くに言ってよ!俺今つむぎくんに電話かけてんの!邪魔すんなよ佐賀美ちゃん!!」

電話口て土下座も辞さない。平に平に頭をすりつける。後ろでうわ青葉やめろ!とか言われたけどやめねーぞ!!俺の枕がかかってるんだ!

「青葉様失礼しますね!チョップ!」
「げふっ!」
「お電話代わりました伏見です。19時に車を1台青葉様のご自宅に到着するよう手配するので、荷物の仕度をお願いします。そろそろ出発時刻なので失礼しますね。」

土下座する俺に伏見は遠慮なく俺を落として、車に押し込んで急遽秀越学園へ校内アルバイトのために出発するのであった。おい、首痛いとか思ったけど、お前かよ伏見。俺の意識はこの辺り全くないのだが、学校に帰ってきてから佐賀美ちゃんが教えてくれた。伏見がきれーに首の後ろにチョップかましたって。



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