幻ばかり追いかけていた。 





書けば出る信者のため、書いた。
あなたに書いてほしい物語さんを使って。
旧fine青葉つむぎを10連で絶対に出すマンさんには「幻ばかり追いかけていた」で始まり、「どうか気付かないで」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以内でお願いします。



幻ばかり追いかけていた。
学院トップという椅子を守るためにひたすら考えて考えていたが、事故により学院よりも病院にいるのが増え出した頃。俺に親父以外の家族が増えた。…といっても、前から顔見知りの相手なんだけれども。母親みたいな人と、弟ができたわけだ。
環境も変わって、家のなかも変わっていって、どこか俺の居場所というものが実感しなかった。昔の音楽だけが俺のユニットだけが大事だと思っていたが、現実そうでもなかった。
学院も家も息苦しさを覚え出した頃、俺の足はもう踊れないと知ったが、それでも躍りたくて、誰もいない場所でゆっくりとした躍りだけを踊っていたら、俺の身の回りを変える要因の一つ、弟、つむぎくんが現れた。

「あ、ゆらぎくん。踊ってたんですか!?お医者さんに禁止されてませんでした?」
「それでも、踊りたかったんだ。」

今踊ったら、踊れない期間が伸びちゃいますよ。だとか言ってくれるけれど、俺に変える場所なんてない。期間が終わって戻れば即刻首が落ちるのが確定している。いわば余生のような期間でもある。

「なぁつむぎくん。俺って、なんだろうね。」
「ゆらぎくんですか?」

いつも楽しそうに嬉しそうに踊って、寝ても覚めてもアイドルの…いいえ、踊ることについて考えてて、俺の作るおにぎりが好きで。めんどくさい俺を手を引っ張ってくれてる人ですかね?でも、ゆらぎくんはゆらぎくんですから、どんな人でも俺はゆらぎくんが好きですよ。家族ですし、楽しそうに歌って踊る姿は憧れますよ。
しっかり俺を見てつむぎくんがそう言う。ナッツ色した瞳が真摯に俺をとらえていた。

「ゆらぎくん、どうかしましたか?」
「いんや、そういうの久しぶりに聞いたなって。そういうのやっぱ。効くな」

小さな頃親父に教えてもらったんだけど、忘れてたよ。人の目を見て言葉を紡げば、相手の心を溶かして捉えて離さないことを。教え込まれた言葉を言うだけだが、普段見ないが故に価値が上がり神秘さが増すだとか。おぼろげながらも根底に沈んでたまに顔を待たせてくるのだから厄介で仕方ない。

「ゆらぎくん?」
「いんや、こっちの話だから気にすんな。」

暗い過去もなにもかもまだ知られたくない。それまでどうか気付かないで。




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