「死なない程度に元気でやってるよ」
朝は目覚ましがなるほんの少し前に、目を覚ます。
あくまでも目覚ましは保険である。最低起きなければいけないラインを保証するものという認識は貴方の教えですよ、えぇ。貴方は時間を無駄にしないですからね。そういう風に習慣ついてしまったのですよ。アラームは保険。今日も自力で起きてますよ。時間を確認してから目覚ましのアラームを止めて、寝床から出る。そのままトースターにパンをセットして洗顔をする。食後に食後に歯を磨くか磨かないかなんてやりあった日もあったことが懐かしい気がします。洗顔が終わる頃にトースターから軽い音を立ててパンが飛び出ていて、それを朝食として食べる。初めて一緒にご飯をするときも携帯食をとりだした衝撃を私は忘れません。二人分用意したのに、お前が食べるかと思った。なんて言われたあの日の私は怒って“個性”を使って貴方を殴り飛ばしたのですから。まぁ、貴方が“個性”を使って、全部ないことにされたのですがね。腹立たしい。でも、もうちょっと察してくださいよ。
食事が終わって歯を磨き、お化粧して服を着替える。着なれたコスチュームは肌の露出を押さえたデザインで、思いが通じ合えた頃はもっとちゃんと安全性を考えろと怒られましたね。私は、べつに体操服でもよいと思ってるのですが、貴方みたいな“個性”の人なんてなかなかいないですしね。でも貴方がいうんですもの、変えますよね。貴方の望みなんですから。着替え終われば、そっと昼食の準備。貴方は家に作っておかないと、なんにも食べないか携帯食しか食べないんだもの。合理的でも、ちゃんと三食食べないと体に悪いのよ。むかしから、そうやって食べてる姿は知ってるけれど、それはそれ。これはこれ。きちんと食べておかないと、緊急戦闘の時困るのにね。そんな貴方はお前の飯が一番うまいとか言ってくれるから、作りがいはあるんだけれど、合理性の塊だからちょっと疑っちゃったりする。許してよ。昔散々貴方に嘘吐かれたんだから。ほら、合理的虚偽ってやつ。たまに使うから信憑性が高くなるんだってば。もう、今日のお昼は貴方の好きな料理よ。暖め直すだけにしておいて、ラップをかける。時計をみるとそろそろ家をでなければいけない時間で、書き置きをしたためる。ペンを置いて、寝室を覗くと私の寝ていた場所の横にいる愛しい黒い塊。
その塊は夜中に帰ってきて私を気遣って静かにベットにはいったんだもの。そして、今日めずらしくオフの日だから。ゆっくり寝かせてあげたいじゃない、ね。起きたら不機嫌かもしれないけれど、寝ておかないと調子でないんでしょう?寝室に向けて微笑んで、玄関に向かう。かすかな寝息が聞こえる家に、そっと小さく起こさない程度に声をかける。

「じゃあ、今日も死なない程度に元気でやってくるよ。消太さん。」
(相澤、相澤!!今日夢の中であんたが出てきたんだよ!!)(沖方、うるさい。)(うるさくないって、あんた寝てたんだもん!…なんで、そんなにあきれてるんだよ相澤今日も死なない程度に元気でやってくるよ!っていうの!相澤に!…鳥肌)(色々聞き捨てならないことがあるんだが?)

ツイッターのリプライ企画でいただいた。お題「死なない程度に元気でやってるよ」だったけれど、この状況なら「死なない程度に元気でやって(く)るよ」だなぁ。と思いちょっとだけいじっちゃった。ごめんなさい

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