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皆があれやこれやと出して、名前が決まっていく。どうも、なんかあれよ。だんだん大喜利っぽくなったけれど、梅雨ちゃんので、空気を換えつつ続々と発表していく。アサイラムで行くか。どうしようか迷っていると、爆豪が却下されてた。爆殺王ってどうなのさ。イギリスかどっかの歴史の王様かな。こっそり笑いながら、挙手して、まぁいっか。ほかのもんも心惹かれなかったし。

「アサイラム。です」
「いいんじゃない?」

よし、ほか考えなくていい。らっきー。何となく言いやすいね。と思いつつ、教卓から降りると麗日ちゃんが挙手をして教壇に上がってフリップを立てる。かわいく縁どられたウラビティという文字に、前から考えてました。グラビティが好きで…。と消えていく言葉尻に、え?と声が出た。思ったよりも声が大きくて、クラス中の視線を奪ってしまった。

「…十数年昔の親の名前が出てくるなんて思ってなかったので…つい。」
「え、グラビティがお母さんなの!?っていうことは、お父さんサイコキノで。佳英ちゃんのご両親どっちもヒーローなの!?」

え、あ。まぁ。そうです。地域の小さな事務所です。はい。ぎょっとしてこっち見るのやめてよ!相棒とお父さんの二人しかいない小さな事務所だよ!?ねぇ、まって。視線が痛いんですけれど。

「…え。あの…。」
「はいはい、その話は後で。残ってるのは再考の爆豪君と飯田君そして緑谷くんね」

ミッドナイトが手を鳴らして視線を集めてたので、視線は外れた。轟だけがこっちを見ていたが。ちょっと居心地悪いんですけれど轟君。っていうか。ここにいるのってみんなそんなのじゃないの?え?違うの?ま、いいか。あーやな視線の集め方しちゃったなぁ。昔のヒーローの映像なんてそんなないはずなんだけれど。なぁ。もしかして、一時期復帰してたとか…ありえそうだよなぁ。
頬杖ついて、窓の外に視線を投げかけようとしてたら、轟から呼ばれて、だるそうにそっちに視線を向ける。

「何?」
「お前のところも親ヒーローだったのか」
「みんなそんなんだと思ってたんだけれど、どうも違って焦ってる」
「ほら、飯田んとこもそうだったし。ねぇ。」

なわけねぇだろうが。全員の親がそうだったらみんなヒーローだらけだぞ。
そう轟がいうが、残念なのか解らないがここにいるのはヒーロー志願の金の卵たち。であるわけでして、将来そんだけヒーローができるなら、そうじゃない?
ヒーロー名も決まったし、アライアンス?いやちがう、なんだっけ。…ちょっと、はやまったかもしれない。もっとわかりやすい名前にすればよかったと後悔する。あぁ、そうそうアサイラム。辞書に貼っておこう忘れそう。


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