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これを踏まえて、指名の有無関係なくいわゆる職場体験ってのに行ってもらう。お前らは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りのある訓練をしようってこった。
それでヒーロー名か!俄然楽しみになってきたぁ!
教室が歓喜で震えてる中で、相澤は適当なもんはつけんなよと言いかけてる間に「付けたら地獄を見ちゃうわよ!!ミッドナイトが入ってきた。この時に決めた名前で世に認知されてプロ名になってる人が多いからね!
特徴的なスーツを纏ったその人は相澤の隣に立つ。その辺のセンスはミッドナイトさんに査定してもらえ。名は体を表すってことだ。しっかり考えろ。とボードを一人ひとり配っていく。
さて、なににしようかね。思考をぐるりと回して眺めるようにボードを眺める。いかんせん呼びやすいのがいよね。じゃあ、英語だなぁ。ミッドナイトやイレイザー・ヘッドとかってどうやって考えたんだろう。いや、今は考えない方がいいか。父と母を混ぜようか、サイコキノ、グラビティ。サイコビティ。いや、なんかアクティビティみたい。グラビキノ。っていうか、個性が違いすぎる却下。名前をいじるほどのセンスは生憎ない。手近にあった英和辞書をパラパラ眺めていると、ひとつ目についた。

「イリーガル」

違法の、とか、不法とかヒーローらしかぬ名前だが、本来の用途と違ったことでも使う英語。…体育祭とか、そうだよね。またパラパラと捲って目につく単語を探す。いいのかよ適当で。と轟がちらりと後ろを見てた。ほっとけ、と言葉を投げてパラパラ見る。

「アサイラム」

保護やら避難所的な意味合いを持つ言葉。転じ聖域や領域の言葉。であり、辞書の最後に閉鎖病棟とかかれてる。これは無視してだ。見える域が私の”個性”の領域であるから、まぁ。重量制限歩けれれど。使ってても問題ないよね…呼びやすいかな。ま、慣れてくるだろう。ヒーロー自体が保護したり一時的にでも気休めになるのならば。保護先になってやろう。ヒーローなんて所詮憧れの押し付けなんだから。そうなったらひたすら敵を埋めるだけだ。アサイラムの頭に今生き埋めヒーローとかになってる。頭のなかで私が埋まってる図が生まれて、ぶふぉっなんて静かな教室に響く。

「沖方?」
「馬鹿な事考えました」

すいませーん。ミッドナイト。


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