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ふっと我に帰ったら、ちょっと硬い真っ白なベッドの上だった。いわゆる病院。ホスピタル。いや、具合悪いとかなかったはずだし、え?倒れたっけ?と考えるが、暑くなってきたなーだるいなー。エアコンの効いた部屋でぐらぐらしてたい。とか思いながら家に帰って行く最中だったはずなのになんで? え?事故った?頭の中をなんで?がたくさん回るころ、大きな音を鳴らして扉があいた。そこから、駆け込むようにお父さんとお母さんがやってきて、私を抱きしめる。
両親共々目が赤いし国立最難関の高校の学科に通いだして1ヶ月。今朝家を出てきた時よりも、若干皺やらが目立っている気がして、一人首をかしげる。 なんで?ほんと?ちょっと、説明プリーズ。混乱に陥る私の気道締めるのやめて、お父さん。久々!とかいうけれど、昨日の晩一緒にご飯食べたよね!?ねえ!?突っ込むのしんどいし、気道圧迫されてるから視界ちらちらしてるんだけれど!ギブギブ!と言わんばかりに腕をタップすると、あ。ごめんと離れるけれど、なに?なにがあったの?お父さん?お母さん?

「佳英!お前が二年ぶりに帰ってきてよかったよ!ほんと!」

んんん?どういうことか、まったくわかんないんだけれど。まって?
母親経由で聞いた警察の話によると、帰宅途中に止める系の”個性”持ちから攻撃を受けて、そのまま誘拐されたんだって。その人が逮捕の際に誘拐された人達が見つかって、雄英の学生証が私のポケットから発見されたから連絡がいってなんやかんや。で、今に至る。らしい。まったくもって解らないけど、集めるだけ集めて観賞するのが好きな敵だったらしい。男の人の趣味ってよくわかんないね。
――はいいのだが。親が泣きながら、喋るから何をいってるのかまったくもってさっぱりなのが、もうつらい。こっちが泣きそうなんだけれど、でも。たぶん、居なくなった二年という月日が長かったんだろうな。っておもうと、ちょっと鼻がいたくなった。二年も心配かけてたんだもんね。仕方ないね。とも思うので、もうちょっと泣かしておこう。
ヒーローやってるお父さんの泣き顔なんて珍しいんだもん。とか思ってたら、思ってたことだだ漏れしてたみたいで、両親から思いっきり頬っぺたつねる刑に処されるのであった。全く持って理不尽だ。抵抗するのも面倒なので、親の愛を甘んじて受け入れる実年齢は18だが、本人体感は16の春。停止の”個性”が聞きすぎなのか、そのあと2日間ベットに張り付けられたように動けなかった。いや、ものぐさの私には全然いいんだけれどね。見える範囲が狭い以外、苦にはならない。仕方がないのでベットを起こして視界と置く場所を確保して、私は安静を手に入れたのだった。


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