017
放課後になんか知らない人たちが敵情視察だとか、来たらしいけれどしらねえ。ぶっちゃけ知ったこっちゃない。やることやるだけ。休みの日はお父さんとかに体術手伝ってもらいながらも、急ピッチにいろいろ手伝ってもらって、体育祭をがんばる。あとからこの間のUSJできてた詳細だとかも聞いて、その発想で人体に使うのが非常に恐ろしい”個性”できんじゃない?とかお父さんがいうから、ちょっとそれは後で考えよう。どうせ体育祭は後半個人戦個性ありステゴロだって言ってたし。そっち優先してると、いつのまにか体育祭の比になっちゃってるのが困るんだよね。

「お茶買い足してこようかなぁ。」
「もうすぐ入場よ?買うなら急いだ方がいいわ」
「んだねぇ。梅雨ちゃん。じゃ、あとでいっか。そうだよね」

女の子同士で集まりながら、あれやこれやと話していると、視界の端で緑谷に向いて歩く轟を見た。

「客観的に見ても実力は俺の方だと思う」

…だろうね、とか思いながら、エネルギー補充用に棒状の携帯食を食べて二人のやり取りを見つめる。どうも、クラス最強が宣戦布告してる。なにがあったと上鳴が寄っていくが、そうだな。とおもいつつ、ボソボソになった口に水を流し込む。ありゃ、水がなくなってしまった。やっぱあとで急いで買いに行こうかな。と二人のやり取りを見ながら、背伸びをする。とりあえず予選は頑張らないと、と思いつつ青春してる轟と緑谷を眺めながら、微笑む。いいねぇ、青春。僕も本気で獲りに行く。とか言えるような年齢だけど学年じゃないんだよなー。と思いつつ机に伏せる。

「どうしましたの?」
「現実ってひどいよねーって思って。」
「どういうことー?佳英ちゃん」
「…ナンデモナイデス」

飯田の入場するぞ、という号令を聞きながら。席を立つ。緑屋が了解オールマイトと小さくつぶやきながら、入場していくのが聞こえたが、はて、と思いながら、自分も遅れずに頑張ろうと小さくつぶやく。だって、お母さんとか見てるんだもん。絶対、撮ってる。自信ある。一番後ろにつきながら、ぼんやりと爆豪の選手宣誓を聞くのである。

「いいねー若いって。」
「佳英ちゃん、年寄くさいねー」
「うん。しかたないね。」

だって君たち寄りの実年齢二つ上なんだもん。と一人つぶやいているのだから。


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