012
どんと、いう音と同時に、腰骨に衝撃が走る。痛い痛い!頬っぺたよりも痛い!クリアになった視界の先に、相澤と人相のわるい人々。ちょっと一瞬空気が止まったような気がするけれど、それは無視。痛いけれど、起き上ってあたりを見回す。

「沖方!?」
「痛い!腰打った!!」

腰をさすりながら一瞥すると、女の子落ちてきたぜー!背中じゃないとこ撫でてやろうか。とかたとえば下着の中とかさー!と変態じみてることまで、いろいろ言ってる。ぎろっと睨んで、一番最初に煩かった敵を埋め込む。結構重たいやつだったので、下半身だけしか埋めれなかった。これで時間は稼げる。近づいたら首だけ生やすわよ!と吠える。

「移動系か!?」
「相澤捕縛!!」
「教師を呼び捨てにするな」

相手がひるんだすきに、相澤は私が埋めた隣の奴を締める。ついでに動けないように膝を埋め込む。指差したやつが一瞬ドキッとするのでその反対側の奴を埋める。とそこに相澤が飛び込む。

「女を捕まえろ!」
「捕まえれるもんならね!やってみろ!」

遠くの奴が駆け込んできて、拳を入れてこようとするので上体を逸らして、避けて金蹴り。まわりがちょっと騒いだけれど、蹴られる方が悪い。しらねぇ。しらねえってば!もうやけだ、このやろう。私は楽がしたいんだ!この野郎。相澤早く周りを倒してくれ。

「沖方」
「いいから、あんたは目の前の敵を倒せっての!」
「奥の手はある!!ほんとに危ない時しか使わない!」

かっこいいねー!とニヤニヤ笑う敵が、寄ってくる。どんな手なのかなー?とかいう男を蹴りでさばいて、転がして埋める。ちょっと深めに腕を埋めたので、起き上るのにも時間がかかるだろう。

「脳無、そっちの女を片付けろ!その”個性”は強すぎる」

そんな音と同時に、風を着る音が聞こえた。頬の横を鋭い拳の風が通り過ぎる。拳の主をみると脳みそを出した映像的にグロいやつ。直感的にこれはやばい。と頭が処理を出すので、距離を開けて、別の奴に走りかかる。黒いやつも追いかけてくるので、それをよけながら、下種く笑っている男たちの足元を睨んで足元の土をえぐるように深く穴ができるように想像する。すると、そこに立っていた男たちは重力によって、穴に落ちるのですかさず土をぶっかける。VS相澤の超強力版。ざ・生き埋め。生きてるか知らない、本人の気力しだいだろう。黒いやつが殴りかかろうとするのが見えたので、近くの敵に駆け寄って殴られる瞬間に逃げるように敵の肩を蹴る。

「逃がすか!」

敵の一人が、私の足を掴んで地面に叩きつけた。まともに受け身もとれなかったので、頭から地面に直接だいぶ。ぐらんと視界が回って、世界から一瞬色が消えると同時に追加で衝撃がやってくる。ちかちかする世界の敵を睨みつけて、見える限りの敵に”個性”を発動させる。

「ぐあ゛あっ」
「沖方」


足に嫌な音を聞きながら、回った世界の向こう側で、緑屋が見えた気がしたが、そんなこと気にしてなんかいられない。視界に入った誰かの腕を無理やり地面に埋め込むように念じると、がらりと世界の色を無くして真っ黒になった。私の意識はそこで消えたのだった。


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