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今日のヒーロー基礎学は、相澤とオールマイトともう一人で見ることになった。って言ってた。
なった。とは、いったいどういうことだろうと変な引っ掛かりを覚える。妙な、違和感を感じながら、あくびを一つ。気のせいだといいんだけれど。と思いながらも、相澤の話を聞く。

「災害水難なんでもござれ、レスキュー訓練だ!!」

今回のコスチュームの着用は判断でいいと言われたので、制服でいいやと思う。別に、水難だろうがなんだろうが、地面さえ床さえあれば私は独壇場だ。と思っている。立ち上がって、集合場所に向かおうとしたら、女子全員にせめて体操服に着替えろ!って言われるのだ。どうして…とか思ったけれど、全員が全員そろって峰田を指差すのだから、納得せざる得ない。本人もパンチラ!とか言ってるのだから、一人に粛清されてるのだもの。…わかったから、百引きずって更衣室連れて行くな!痛い!百!君、なんで!?痛い痛い痛い!!ほっぺたぁああ!!着替えるから!着替えるから!!ロープ…どっから出した!?って”個性”かそうだよな。いたたたた!なんなの。芦戸ちゃんやらまで、頷いてないで助けて!!摩擦熱ぅうう!!痛い痛い!!!
頬っぺたをひりひりさせながら、バスに乗る。乗る際に相澤にお前は、と呆れられながら、無視して乗り込む。座席もなかったので、砂藤君の横に腰を下ろす。よろしくーとか簡単な挨拶をして、酔いやすいから寝る。と言って、眠る。目をつぶって周りの会話を聞いてると、”個性”についてやらいろいろ言ってる。やはりちょっと自分で線を引いて後ろめたさがどこかたつ。
なんだか、やはりキラキラしてるなぁ、と思いつつ、目を閉じているとなんか、方向性が変わってきているような。

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなさそ」
「んだとコラ出すわ!!」
「ほらね。」
「この付き合いの浅さで、すでにクソを下水で煮込んだような性格と認識されてるってすげえよ」
「…ブフォア…」
「沖方?」
「テメェのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!チビ、オメェも笑うな!!」

おなか痛いんだけど、まって、ボキャブラリー豊富すぎてだめだ。切島、わらかすな。腹筋がもぎれるわ。爆豪の殺すとかしかボキャブラリーの無さにも笑う。だめ、腹筋。息しんどい!!砂藤くんが、心配そうに声かけてくるのを、大丈夫と言いたいのに笑いすぎて、走った後みたいになりながら、返事をする。皆を見渡すと、緑谷くんが震えていたのを見逃さなかった。バスの中はケラケラとみんなの笑う声を聴きながらまた眠ろうとしたが、バスはついてしまったのだった。降りしなに、爆豪に睨まれたがほっとけ。悪いのはお前の、クソを下水で煮込んだような性格のせいだと、小さくつぶやくと、砂藤くんが、沖方がそんなこと言うんだな。と笑っていた。



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