■ この想いを捨てられたら、どんなに楽になるだろう

セシルと彼がバロンを出て二日が過ぎた頃。
彼らがバロンを出てすぐに赤き翼に、新たな隊長がやって来られました。その方は陛下をカイナッツオと呼ばれ、陛下はその方をゴルベーザ様と呼ばれていて、陛下とゴルベーザ様の、間柄がよく解らず、部屋の隅でお二人のやりとりを眺めていましたら、陛下に呼ばれ寄りますと、俺の上司だと、紹介されて深々と頭を下げますと、ふむ。とゴルベーザ様が、上から下まで見られて、ほう。と、声を溢されました。なにか、したかと問いかけると同時に大きな地鳴りを聞きました。
慌てて窓の外を見れば、ミストの方向に大きな山がひとつ出来て、赤く燃えているのがよく伺えました。

「あれは…」
「ボムの指輪が動いたようだな。」
「ミストを焼き払いは成功したか。恐らくあの地鳴りは召喚師の抵抗であろう。奴等の命もあるまい」

ゴルベーザ様の、申される言葉がうまく、頭に入ってきません。彼等とは、だれやなのか。言われなくても想像が出来て、視界がくらりと回っていくのが自分で解りました。なんとか踏み耐えて、壁にそっともたれるようにして、陛下とゴルベーザ様に視線を向けますと、ことの成り行きが満足されたご様子で陛下も「流石はゴルベーザ様。」と称賛されるのでした。
ひとしきり考えた後なのかゴルベーザ様は様子を確認する。それだけ残して王の間を離れていかれました。
お前も下がれ。と陛下が仰られたので私は深々と頭を下げてから、一旦落ち着くために自室に戻るのでした。
彼らの無事を願いながら歩いていると、ひどく悲しそうな顔をしたローザが向こうからやってきたのです。人目もありましたので、私の部屋が近いこともあり人目を忍ぶようにしてローザを部屋に招きました。
重たげな扉がしまる同時に、ローザは私に抱きつきすがるように見上げてきたのです。

「メロウ、どうしよう…セシルがカインが…」

その、一言でそれとなく察しました。ローザもローザで情報を集めたようでした。涙を溢さないようにしながら、絶望に、ちかい表情のローザの涙を拭いながら、昔からの私はみんなよりお姉さんだからとこんな位置に立っていたなとぼんやり想いながらも、私はローザに語りかけるのです。

「セシルが死んじゃったら…私…」
「私では彼等を元気にはさせれませんからね。」

ローザ。明日の明朝にバロンを出てミストを通りカイポまで行っておいでなさい。私がなんとかしておきましょう。貴女の腕なら問題なく行けるでしょう。、
柔らかな金の髪を漉きながらそう語りかければ、そうね。と弱々しい笑顔を作ってからまた、眉を下げて私の心配を始めました。彼女はひどく、優しいのです。だならこそ、勘違いも生まれるのですが。

「メロウも、一緒に行かない?」
「私は行けませんよ。」

一緒に行きたかった。行っても苦しく笑彼を見るのならば、悲しくなり観たくは無いのです。
こんな気持ちさえ持っていなければ、こんなに好きだと意識していなければ、この想いを捨てられたら、どんなに楽になるのでしょうか。
捨てきれない臆病者の私は行けない旨を伝えたら、そうよね。とまた悲しそうに笑うのでした。
泣き止み、弱く笑う彼女を見送るのが、私と親友達の最後でした。
私は、ローザの脱走を幇助をした罪により処刑をされたのでした。オセロ
この想いを捨てられたら、どんなに楽になるだろう

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