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 結果が届いたのは試験から一週間後の事だった。

 ジルは手応えを確かに感じていた。その予想通りか、成績は満点を弾き出していた。

「・・・ユラさんやったよ!」

 そう言ってジルはカグラに結果を渡した。

「・・・凄いな、ジル君。私に負担をかけまいと頑張っていたことは知っていたからね、私は何も言わないよ。ちょっと寂しくなるけど、帝軍で頑張っておいで。あそこはたぶんジル君が思っているよりたくさんの事を学ぶ事が出来ると思うよ・・・」

「うん。頑張るよ」

 その時ジルには聞こえていなかった。カグラが呟いた言葉を、「・・・あそこはまさにこの国の裏側だからね・・・」その言葉に含まれている事の重大さをジルはもうすぐ知ることになる。

 出立の時はもう明後日にまで迫っていた。

 ジルは月を眺めながら小さなロケットペンダントを握りしめていた。
 それはどうしても棄てる事の出来なかった、ジルが、ジルベール・ステファンであったころに従者のエリックにジル自身がプレゼントしたものだった。

 あの日、シェルターの出口付近でジルはそれを拾った。自分を何より想ってくれていた、自分の半身と言っても過言でないほどずっと一緒にいた少年エリック。
 彼は最後に自分を愛していたと言った。
 だからこそ生きろと言った。

 ジルはあの後死んでもおかしくなかった、その度に従者との約束を違えてはならないと思ったのだ。

 そのペンダントは特殊なもので、所有者の血によって蓋が開く用になっていた。
 そのためジルはペンダントの中を見ることは叶わなかった。
 そしてそれは一生叶うことはないのだとジルは幾度となく思いしらされた。

「俺は、生きるよ。そして必ず・・・敵を、皆が消えた原因を見つけてやる・・・」

 ジルは何か戒めるように月に向かってそう呟くと、床についたのだった。



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