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 朝食を食べながらカグラはふと思い出したかのようにジルに話しかけた。

「そうそうジル君。今夜お客さんが来るから」

「・・・お客さん?」

「そ、お客さん」

 カグラはそれだけ告げると仕事に向かった。
 笑顔で告げられたお客さんとやらがいったい誰なのか、ジルは疑問を巡らせていた。

 朝食が食べ終わり、昼からは家庭教師のディーン先生との勉強の時間だった。
 ジルはもともと大貴族として恥ずかしくないようにと、この国で学生が学ぶあらかたの勉強は終えていた。だからこの時間はジルにとっては復習のようなものだった。
 ちなみにディーン先生は年齢不祥のナイスボディな女性である。
 教えるのも上手くいつも優しいが、前に一度年齢を聞いたら、笑顔で恐ろしいオーラを出しながら「レディに年齢を聞くなんて野暮なことしちゃだめよ」と諭されて以来、ジルはディーン先生に年齢を聞いてはいけないと脳にインプットした。


「ディーン先生、軍に入るにはどうしたらいいのかな」

「ジル君、あなたは賢い子だわ。だけどいつも言っている通り、まだ若すぎるわ」

 たまにこうやってジルはディーン先生に問うのであった。自分の目的のためにはやはり自ら軍に入り込むしかない、そうジルは思っていた。

 夕方頃、部屋で読書をしていたジルの所にヨーゼフとメイドのマリアがにこにこと怪しげな笑顔を浮かべながらジルの部屋にやってきた。
 ヨーゼフとマリアは何やら紙箱を抱えていた。

「今夜はお客様がお見えになりますので、ジル様にこれをとユラ様から言づかっております」

 そう告げたヨーゼフの眼が、心なしか光って見えたジルだった。



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