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 何やら会話が聞こえたジルはゆっくりと瞼を開いた。

「・・・おや。ジル君起こしてしまったかい」

 聞き覚えのある声に誰だろうと顔を向けると、綺麗な碧眼と眼があった。

「・・・・」

 突然の自分の買い主との再開に、ジルは固まってしまった。

「ふふふ、どうしたんだい。まだ寝ぼけてるのかな」
 そう言いながら優しくジルの頭を撫でた。

「・・・っ!?な、何で・・じゃなくて、あの時はすみませんでしたっ」

 とっさにジルの頭に過ぎったのは、あの時の非礼を謝らなくてはというものだった。

「あの時?・・ああ、あれね。別に全然気にしていないから大丈夫だよ。まあ君の猫かぶりにはすっかり騙されたけどね」

 にこにことしたカグラの顔と言葉に何故か青ざめるジルだった。

「あの・・・気になってたんですが、何で俺なんか買い取ったんですか。それにこの部屋・・」

 ジルは気になって仕方なかったことをカグラに問いた。
 それに対してカグラは相変わらず笑みを浮かべながら「何でねえ・・」と呟いた。

「一つ目は純粋に、言い逃げされてもう一度君に会いたくなったから。二つ目は、世話焼きな友人に遊び歩くのはいい加減に止めろと叱られたから。そして君は私が今まで出会った子の中でも飛び抜けて綺麗な子だった。きっと私以上の麗人になるのだろうね。それで私は君を買い取ったのだよ。・・・もう一つの質問の答えは簡単さ。私と君はもう家族なのだから、私と同等の扱いをしなくてどうするんだ」

 カグラはそれがどうしたと言わんばかりの様子で淡々と答えたのだった。



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