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 カグラは黒薔薇の館で鬼の様な形相をしながら業務にあたっていた。いくらさばいても次から次へと仕事が舞い込んでくるのだ。カグラは忌ま忌ましそうに、先日バルトルから渡された黒い紙を思い出していた。
 あれはつまり、今のような現状が起こる布石であったのだ。
 黒い紙、あれはカグラにとっては別件であったはずだった。表に出てはいけない裏の仕事、それはこの国ルーベルが大陸一の領土と国民性、それらのものを表立って支えているものが軍部だとすれば、影となって支えてきた別の集団。その頭がカグラのもう一つの顔でもあった。その存在を知るものは、軍の上層部の一握りのものと関わっているもののみ、そういう存在がいるらしいという噂のみがところどころ知られ、強く非道だが彼らの存在がこの国を守っていることから、名無き彼らは陰で影狼と呼ばれていた。

「クラウス大尉・・私はもうだめだ。後は任・・し・・・た」

 現実逃避をし始めたカグラに、クラウスはいつも以上に眉間をぴくぴくさせながら口を開いた。

「眠らないで下さいカグラ大佐!!今あなたに眠られたら困るのは私達なんですよ!!」

 黒薔薇の館のカグラの率いる隊員達は皆一様に焦点の合っていないような眼で諜報部から送られてきた情報整理と現状把握に追われていた。それもそのはず、彼らは二日前から帰宅出来ずにこの部屋に缶詰状態だったのである。もちろん、それはカグラ達だけでなく他の部署の部隊にも言えたことだったが。



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