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 ルーベルの北西に位置する小さな村、リュカスでは原因不明の謎の病が発生していた。
 病状は人それぞれ様々であったが、皆一様に肌が爛れ落ちるという恐ろしい共通点があった。

「お祖母さんもお母さんも寝込んでしまった。なんで、なんでこんなことになってしまったの・・・」

 少女は井戸で水を汲みながら悲痛な声をあげたのだった。


 ジルはカグラが寄越した迎えによって新たな住居に着いていた。
 少し町外れの高台にその屋敷はあった。かつてジルが住んでいた家と比べると小規模な屋敷だったが、深い色合いの石造りの建造物は堂々としたもので家主のセンスが伺えた。
 そして、迎えてくれた初老の男によってジルは一室に案内された。

「此処は・・・」

 深い紺をベースに銀糸によって模様が描かれたカーペット、カーテンは逆に銀に近い深みと鈍い光沢のある上等なものが掛けられていた。その他調度品も手のこんだ細工が施されており、男娼相手にこれほどの部屋を用意するカグラの意図をジルは計り兼ねていた。

「主はまだ帰っていらっしゃりませんので、こちらでお待ち下さい。室内の物はお好きに使ってかまわないと主に言付かっていますのでおくつろぎ下さいませ」

 そう丁寧な口調で説明すると初老の男は部屋を後にしたのだった。



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