不断

どうして

なんて無責任な思い、かな。




ただの偶然
そう、ただの偶然で。

今、俺たちが壊されそうになっている。


昔、ふと考えた。
傍にいたいと俺が零せば
きっとあいつを苦しめたまま
それでもあいつは笑って
俺の傍に居続けるんだろうと。

どうにかしなきゃいけない、と感じた。

自分を大事にしろって、言って。

その時に考えていたこの言葉は、確かに俺のせいで傷ついて欲しくなくて言ったのに、どこかで俺以外となにかあったときのためだ、と思っていた。
その結果がこれだ。

あいつが視界に入るたび
あいつの声が耳に入るたび
あいつの気配を感じるたび
あいつの匂いを感じるたび

愛おしくて仕方がない。


なのに、離れていく、最悪の未来が
感じられた。


理不尽だ、って。
不可抗力だ、って。
叫びたいのに。


俺の声帯は震えない。


「だから、責任とってよ。
始めたのはあなただよ?
あたしに終わりを見せたのもあなたなんだよ?
どうして苦しそうなの。
あなたはあたしとこうなることを期待してたんでしょ?
だから、他の女と抱き合ってたんでしょう?」
そう言われて、泣きそうな声でまた、
「はっきり、して」
と、気丈に振る舞うあいつが。

にくいくらいに愛しくて、閉じ込めていたいぐらいに嫉妬した。
いつの間にこんなに強く美しくなったんだと。それで、一体誰の目に写ったんだと。
不明に、苛ついた。

「いつ、俺はお前を手放すと言った?
お前が俺のものになった瞬間から、お前は俺以外を見たらいけねぇんだよ。
一生離さねぇ。覚悟しろ」

腕の中に無理矢理閉じ込めて、強引に唇を奪った。
頭の中では止めなきゃヤベぇと思ってるのに、体と心は止まらなくて。

「 っ、 ぃ、やっ!! やだ、離して!
他の女を抱いた手であたしに触らないで!!!
やだってば!都合のいい女なんかにはなりたくないのっ!」

そう泣きそうに叫んで、めちゃくちゃに暴れるくせに。涙は零れてなくて。安心してる自分とムカつく自分がいた。
初めての、露骨な、反抗。
自分のどこかで何かが切れる音がした。

それから後は、あまり記憶がない。

めちゃめちゃに抱いた。
泣き叫んでも止めず、意識が飛んでも止めずに、抱き続けた。

気付いたときにはもう空は明るみ始めていて。
あいつは涙をのこしたまま眠り、俺は涙を止められないまま謝り続け、朝を迎えた。


昼前、目を覚ましたあいつは一瞬怯えた目を見せ、その直ぐ後、きょとん、と。そんな効果音が嵌まるほど不思議そうに首を傾げた。
そして口を開き直ぐに眉根を寄せるのを見て、水を差し出すと、一気に飲み干した。
「あ、の…ね、ど、して?
なんで、泣いてる、の?目も真っ赤、だよ。
それに、なんで、あたしを抱いたの?もう、いらないんじゃないの、?」
不思議そうに不安げに、俯きながら声を紡いだ。
「…あたし、やだよ。都合のいい、体だけの、関係なんて。
心、欲しいよ」

心が少し、軽くなった。
あんな最低なことをした俺でも、心が欲しいと言ってくれている。
嬉しくて、安心して、涙がまた出そうになったけど、それは男の意地。なんとか止めた。
「好きだ。お前しか、いらない」
唐突すぎて卑怯だろうか。それとも、また受け入れて笑ってくれる?
目は、互いにそらしたまま。あいつが微かに震えた気がした。
「お前が見たのは偶然だ。俺が定期落としたのをあの人が拾って渡そうとしてくれたときに、躓いて転びそうになったんだ。それを俺は、受け止めただけだ。
親切にしてくれた人に対して失礼だろ?手を延ばさないのは。だからだ。他意はない。
赦してくれとは、言えない。逆ギレしてお前をむちゃくちゃに抱いた。
…悪かった。ただ、わかってほしい」

沈黙が流れる。
当たり前だ。むちゃくちゃにされた理由が逆ギレで、尚且つまだ離したくないときてれば、誰だって言葉も愛想もなくす。

後悔だけが溢れている。
どうしてあんなことをしたのかと。

ふと、気配が動いた。
「あの、さ。全部全部、あたしの勘違い、だった?
あたしはちゃんと、あなたの心に、いる…?」

あいつを見ると、俺を見ていた。少し瞳を潤ませて、不安げに揺れる目で、俺を見上げて。
こんな状況だってのに、顔が緩む。
愛おしい。
「ああ。会ったときから、ずっと。
愛してる」
そうすれば、顔を紅く染め上げ涙を零し、はにかんで笑う。
「あのね、あたし、大好きだよ。
あたしも、愛してるからね。
だから、離さ、ないでね…?」


堪えきれなくて抱きしめた。
シーツを纏っただけの、華奢な身体を。
壊れ物を扱うかのように、そっと。




優柔不断
(なんて)(蓋を開ければ、)

一生大切にする。結婚してくれないか、?
よろしく、お願いします///




end.

――――――――――――――
なっがぁああ!!???
うっわもうありえないくらいに長いです。すみません。
しかもなんだかシリアスちっくorz

+++
えっと、ssはこんな風に続いたりします。
今回は優柔と不断。つまり優柔不断ですが;
長くなりそうなときは数字でもいれるつもりです。

変な言い回しだとか場面転換だとか、目をつぶってください。
あ、こそこそっと拍手やメールなどで教えていただけると幸いです。
お読みいただきありがとうございました。


091205 hina



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