幸せだと、おもっていた。
君も、僕も。二人一緒にいることが、二人の幸せだと、信じて疑わなかった。
「どう、して・・・」
ただ呆然とそう問うことしかできない僕に、苦笑を滲ませた儚い笑みで、君は言う。
「人は届かないものに憧れる。
自分には到底できないことを、難なくこなしてしまう人に憧れて、多才な人に好意を抱く。
だけど、憧れから堕ちてしまった恋は、駄目なんだよ。
簡単に、終わりを迎えてしまうでしょう?
私が、できなかったことを、独力で、できるようになってしまったら。
あなたの手を、一切借りることがなければ。
・・・・・・だから、もう終わり。
身勝手でごめんなさい。
だけどこれ以上は無理だね。
あなたも私も、幸せを掴めない。」
(ありがとう好きだったよ)(と、そう聞こえたのは夢だったのだろうか)
好きなんて気持ちはただの気持ちでしかなく互いを縛るものじゃなかった、
――――――
20100503
bkm