「あれが、わたしの家」
「すごいな」

クラウドも思わず驚きの声を上げる。
一面に広がるお花畑はミッドガルでは珍しく、お花に興味ないと言ってたクラウドも、辺りを見回していた。

「おとぎ話の世界みたいだよね。あたしも初めて来たときはビックリしちゃったんだ」
「そうだな。なまえが好きそうな場所だ」
「うん。綺麗だよね」

小さい頃に案内したお花畑を思い出して懐かしくなる。
こんなに色とりどりではなかったし、お花畑と言うには小さい場所だったけど、それでも小さい頃は一面に大きく広がるように見えたっけ。

エアリスはあたしたちを招き入れ、エルミナさんにクラウドを紹介した。
ボディーガードだと紹介すると、あたしやエアリスのことを心配したような表情を浮かべるから「大丈夫ですよ」と安心させるように笑う。

「クラウド、七番街行くんだよね?」
「あぁ」
「じゃあ、送ってく」
「ここまで送った意味がない。またタークスがきたどうする?」
「面倒だけど、慣れてるから。それより、クラウドが心配。あっちこっち迷いそう。迷っても格好つけちゃって、助けてって言えない」
「俺の何がわかる」

そう、クラウドが反論したけどエアリスは気にせずに話す。
確かにエアリスの言う通り、きっとクラウドは強がって迷ってしまいそうだ。
でも、今から行くのはレノたちが来ていた手前危険過ぎる。
慌てるあたしの視線を感じたのか、エルミナさんが微笑み助け舟を出してくれた。

エアリスを諭し、明日の朝出発することになったものの、相変わらずクラウドは不服そう。
早く七番街スラムに帰りたかった上に、すっかりエアリスのペースに巻き込まれ、リーフハウス依頼もこなさなくていけなくなり、さすがに文句を言う。
約束はエアリスとあたしを伍番街まで送り届けることーーーそりゃ、文句も言いたくなるよね。

「報酬、すっごく高いのに。お母さん聞く?」
「待て!」
「カゴ取ってくるから、クラウドはなまえと待っててね」

エアリスが階段を登っていく姿を見て深い溜息をつくクラウドにエルミナさんと顔を見合わせて笑う。
相変わらず、不機嫌ですってオーラを隠さずにしているクラウドがなんだか可愛くて、昔を思い出して笑っていると、こちらを睨まれてしまう。
でも全然怖くなくて、こんなクラウドが珍しくて、あたしは少し嬉しかったんだってことは言えるワケもなく。
エアリスが戻ってくるまで、微笑ましい気持ちで待っていた。



ーーーーーーーーーー



「じゃあ、案内するね」
「あぁ、頼む」

リーフハウスからの依頼のあったお花を届けに向かった後、エアリスの提案でクラウドを伍番街スラムを案内することになった。
久しぶりの再会だからと気を使ってくれたんだと思うけど、なんだか少しいたたまれない気持ちになってしまう。
別れ際のエアリスのウィンクは、久しぶりに会った幼馴染みとの積もる話に気を利かせたワケではなく、きっと、あたしの気持ちに気付いてのことな気がしてならない。
エアリスは感が鋭い方だから、きっと、後で色々と聞かれそうな気もするけど、それでも、2人きりになれたことは正直嬉しいので感謝しかない。

「そう言えば、身体の調子は大丈夫?上から落ちてきたって聞いたけど…」
「あぁ。ソルジャーだからな。そんなに柔じゃないさ」
「ならいいんだ。具合悪くなったらいつでも言ってね」

クラウドの様子を見る限り、特に体調が悪そうにも大きな怪我があるようには見えなくて、ひとまず安心する。
上から落ちてきたなんて、何をどうしたらーーーとは思ったけど、クラウドが話したいようには思えなくて、特に聞けていない。
本音は気になるけど、今はクラウドが無事なことが嬉しかったから。

「それより、なまえこそ大丈夫なのか?」
「え?あ、さっきの?大丈夫だよ」
「タークスに狙われるなんてよっぽどだ。あの日以降、どうしていたんだ?」
「あの日は…ティファが心配で追いかけて行ったんだけど、迷子になっちゃって。たまたま通りかかった人がいて助けてくれたの。それからはミッドガルで暮らしてて、伍番街スラムにはつい最近来たの」
「アイツは?」
「アイツ…レノのこと?」
「あぁ。妙に親しいように見えたが」
「レノは本当にボディーガードしててくれたの。ちょっと、あたしの魔力おかしくて…」
「なまえ!」
「わ、ムギ?どうしたの?」

まるで体当たりするかのような勢いの衝撃に驚いていると、衝撃の正体であるムギはひどく慌てた様子だった。
何かトラブルがあったのは明らかで、クラウドと顔を見合わせると、一緒にリーフハウスにいるエアリスのところへ戻ることになった。

話は途中となってしまったけど、ムギには少し感謝していた。
他の世界に行っていたこともそうだけど、レノのことどう説明していいかわからなかった。
ちゃんと話すには神羅に囚われていたことがあると伝えなくちゃいけなかったから。
余計な心配はかけたくなくて、でもタークスに狙われている本当の理由は言えなくて、上手な言い訳が思い浮かばない。

賭けには勝ったけど、今はもうレノの誤魔化しも副社長の権限も覆るほどのーーー例えば、社長権限とか。
理由はわからないけど、再び"捕獲対象"となってしまったんだろう。

エアリスも何かしらの理由があって、タークスに狙われている。
本人からは聞いたことはないけど、きっとあたしと似た理由かもしれない。

「なまえ」
「ん?」
「話したくないなら聞かない。でも、なまえのことは俺が護る」
「…ありがとう」

そんな風に真剣な瞳で告げるから、心臓が痛いほど早鐘を打つ。
あーもう。絶対いま変な顔してる!



再会したキミ

prev | next
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -