壱番街の魔晄炉が何者かによって爆破されたーーー。

そんなニュースが放送中の番組を中断する形で、速報として流れた。
テレビから流れる映像には、爆発した魔晄炉が炎に包まれ、各地で倒壊したビルや火の手が上がる街の様子が、まるで映画のように、非現実に映っていた。

そのニュースを見たあたしは、真っ先にエアリスの家を訪ねた。
しかし、家の中には姿はなく、突然訪れたあたしにエルミナさんが困惑していた。

慌てて飛び出して、いつものルートで八番街に向かう途中でエアリスを見つたときは、安心してその場にへたり込んでしまった。
そんなあたしの様子に、エアリスは笑って「心配かけてごめんね。親切なソルジャーさんが助けてくれたの」と言って、あたしのことを抱きしめてくれた。
エアリスの体温が心地よくて、生きてることに安心したあたしに帰ろうか、と手を差し伸べてくれた。

「これじゃあ、どっちが被害にあったかわからないね」
「そうだね。でも、迎えに来てくれてありがとう」
「ううん。エアリスが無事で良かった」



ーーーーーーーーーー



翌日もニュースで流れるのは、壱番魔晄炉が爆発した事件のことばかりだった。
街の炎は朝方には鎮火されたものの、有毒ガスなんかが発生しているらしく、立入禁止区画などもあり、倒壊した建物の撤去や救助活動が難航していた。
避難住民は近くのプレートやスラムに流れていて、伍番街スラムにも他のスラムに比べて少ないものの、避難してきた人がちらほら来ていた。

爆破の原因については、未だ特定できていないらしく、アバランチの仕業ではないかと一部では噂されていた。
星の命を救うと掲げる、反神羅組織であるアバランチは、これまでも神羅カンパニーと揉めていてる。
もしこれが事故じゃなければ、犯人の最有力候補はアバランチとなるらしい。
特に誰かの肩を持つワケじゃないけど、神羅が作っているニュース番組の情報や偏った知識を鵜呑みにする気にはなれず、流れるニュースに辟易していた。

「なまえちゃん、今日の午後も仕事お願い出来ないかな?」
「ごめんなさい。今日は墓地付近のモンスター退治の依頼が入ってて…」
「そっか。それなら、仕方ないな」
「依頼が早く終わったらお手伝いしますね」

そう言って、午前中のカフェの仕事を終えてモンスター退治の依頼のために準備する。
今日は、一段とカフェに来るお客さんが多かった。
壱番街や八番街へ仕事へ出ていた人も多かったようで、待ちぼうけをくらってしまった人や、職場へ行けない人で賑わっていた。
手伝ってあげたいのは山々だったけど、墓地付近の依頼は少し前から受けていたし、伍番街の入り口に近いこともあって、モンスターが入り込んでしまっては厄介だった。
出来るだけ早く済ませて、お手伝いに向かえれば、そう思って準備していたところに部屋の扉をノックする音が聞こえる。
扉を開けると、少し慌てた様子の男の子、ムギがいた。

「ムギ、どうかしたの?」
「なんか、スラムの入口とか広場が騒がしいんだ。他の子供たちが不安そうにしてて、リーフハウスの先生たちも手一杯みたいで…これからモンスター退治に行くって聞いてたけど…でも…」
「…依頼があった人に相談してみるね。ムギは先に秘密基地のみんなに、今日はリーフハウスに集まるように伝えてくれる?」
「…なまえ、ごめんね…俺がもう少し、大人だったら…」
「ムギは心配しなくて大丈夫だよ。依頼してくれた人、いつも子供たちに助けて貰ってるって言ってたから、きっとわかってくれる。教えてくれて、ありがとね」

俯いたムギの頭をそっと撫でると「俺だって、もう一人前なんだから!」と部屋を飛び出してしまった。
そんな様子に、クラウドの子供の頃を思い出してしまい、なんだか懐かしい気持ちになった。

街はいつもより騒がしく、なんだかこの間の壱番魔晄炉が爆破された日を思い出させる。
不安な気持ちを抑えつつ、依頼人に事情を説明すると、まずは子供たちを安心させて欲しいと言われた。
元々の依頼も、子供たちを安心させたいからで、その子供たちが今不安なら、そっちが優先だと再度依頼されてしまう。
依頼料を渡されそうになったので慌てて断り、あたし個人的の仕事だと言って無理矢理納得して貰った。

リーフハウスに戻る途中、ふと広場の大型ビジョンに視線を移す。
そこに映っていたのは、この間の壱番魔晄炉のニュースの首謀者の話や犯行声明が発表されたことが報じられていた。

首謀者は反神羅組織であるアバランチ。
ウータイと共謀して、ミッドガルへ攻め入るため、足がかりとして魔晄炉爆破をしているらしい。
そして、今日中に再び魔晄炉を爆破すると犯行声明が発表され、神羅はその場所の特定に全力を注いでいるというニュースが流れた。

「…ウータイはもう戦争する気なんて、ない」

思わず画面を睨みつけ、腹が立つ気持ちを抑えつつ、リーフハウスへと戻った。
そこには不安そうにしている子供達をなだめる先生たちや、エアリスがいて。
あたしも一緒に、子供たちを安心させるように笑顔を浮かべて抱きしめる。

不安を煽るようなニュースを見せないよう、子供たちにはなるべく、広場に近付かないようにお願いして、今日はリーフハウスでのお泊まり会を提案した。
園長先生が準備を手伝うように言うと、子供たちは嬉しそうに準備を始めた。

あたしはそんな皆の様子を見ながら、報道がデマであればと、そう祈らずにはいられなかった。



魔晄炉連続爆破事件

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