炎を宿し、静かに骸を見据えるツナに雪詠は息を呑んだ。
「(いつもと、違う…?)」
骸は憑依した体を使いツナに襲い掛かる。しかし、ツナはそれを軽々と避け、攻撃を喰らわす。
「雪詠、処置を頼む」
ツナの声に雪詠はハッ、と我に返った。
その両手には気絶した獄寺とビアンキが眠っている。
「出てこい骸。生きてるんだろ?」
ツナの言葉に骸は笑う。そこには先程自ら銃を打ったはずの体――正真正銘、六道骸がいた。
「先頭センスが格段に向上していることは認めしょう。だがこの程度で図に乗ってもらっては困りますね。」
そう言いながらも三又槍を左手へ持ち替えた。
「僕が持つ6つある戦闘能力(スキル)のうち、まだ1つだけ発動していないことにお気づきですか?」
「第5の道…人間道、だよね」
雪詠の言葉に骸は笑みを浮かべた。
「その通り。我々の生きるこの世界が人間道です。そして実は6つの冥界のうち、最も醜く危険な世界だ。」
骸は右目に右手をかざした。
「皮肉ではありませんよ。ゆえに僕はこの世界を嫌い、この能力(スキル)を嫌う。できれば発動させたくなかった――…」
そう呟いた骸は右目を抉る出すように指を差し込んだ。
「この人間道は最も醜く」
グリッと何かを動かすような音がした。
「最も危険な能力(スキル)ですからね」
骸の右目には、"五"の文字が浮かんでいた。闘志(オーラ)を放出させた骸が三又槍を手に地を蹴った。
「君と僕では力の差がありすぎる」
壁に勢いよく投げつけられたツナに雪詠が声を上げた。
「沢田くっ、…!!」
飛び出しそうになった雪詠の腕を誰かが引く。それを振り払おうと後ろを振り返った雪詠の目に映ったのは悠だった。
「悠…!今までどこに、」
「今、なにをしようとした。」
「…え?」
その言葉に雪詠は目を丸くした。
「アイツらの邪魔をするな。」
呆然とする雪詠の後ろで、瓦礫の音が聞こえた気がした。
 
 
ブラッド・オブ・ボンゴレ
(君は何を言ってるの?)

 
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