「ビアンキ!!」
フゥ太に刺されたビアンキを目の当たりにしたツナは慌ててビアンキに駆け寄る。
どういうことだとフゥ太を見たツナは目を見開いた。フゥ太は三又槍をツナに振りかざし、ツナに攻撃しようとしていた。
一瞬当たりそうになったものの、リボーンが鞭でツナを引き寄せそれを回避させる。
ツナはコントロールしている骸を直接攻撃しようとリボーンに渡された鞭を手に走り出した。だが大きく鞭を振りかぶるものの、後ろのフゥ太を巻き込みながらも鞭が足に絡みつく。
地面に落ちていた三又槍を手にしたフゥ太はツナを目掛けて振り上げた。
「おまえは悪くないぞ」
「!」
フゥ太の動きがピタリ、と止まる。
「全然おまえは悪くないんだ。みんなフゥ太の味方だぞ。安心して帰ってこいよ」
その言葉に我に返ったフゥ太は血を流しながらもその場に倒れる。
骸は悪びれもなく話す。その中にはフゥ太がツナ達を庇い通した結果、ランキング能力まで失ったと平然と語った。
「それで仕方なく以前に作られた並盛のケンカランキングを使い、ツナとファミリーをあぶりだそうとしたんだな」
「もくろみは大成功でしたよ。現に今ボンゴレはここにいる」
「人を何だと思ってるんだよ!!」
ツナの言葉に骸は笑みを浮かべた。
「おもちゃ…ですかね」
「ふざけんな!!」
そう言って走り出そうとしたツナに雪詠は腕を引き、引き止めた。
それに対して動揺するツナを他所に、雪詠は骸を睨みつけながらも口を開いた。
「それで…悠はどこなの?」
雪詠の言葉に骸は口許を歪める。
「クフフ…本当に貴女方はお互いに依存してますね。」
「…違う。」
「いいえ、してますよ。」
そう言いながらも骸はコツリ、コツリと音をたつながらも一歩ずつ雪詠に近付く。暑くもないのに雪詠の額から汗が零れ落ちた。
「昔から君はそうでしたね。それ故に――依存しすぎた。」
コツリ。
その音は目の前の、ほんの数十p前で足を止める。骸の口許には綺麗な弧が描かれていた。
「…なにが、言いたいの。」
雪詠の言葉に骸は顔を歪めて笑みを浮かべた。
「さぁ?なんでしょうね。」
「はぐらかすつもり?」
「とんでもない。僕は君達に戻ってきて欲しいだけです。」
「戻る?」
「そう。貴女、榊雪詠と氷室悠はもともと、」
僕らと同じでしたから。
そう答えた骸は右目には"一"の文字が浮かび上がっていた。
「榊さん…?」
不安げに雪詠を見つめるツナの瞳は動揺で揺れている。
「君にも見せてあげましょう。彼女が視たものを…君と、彼女と…僕達が体験したことを。」
途端、雪詠の視界がぐにゃりと歪みをみせた。
立っていられなくなった雪詠が膝をつき、やがてはその体は力なく床に横たわる。
 
「榊さん!?榊さん!!」
必死に叫ぶツナに骸は口許を歪めた。
「クフフ、彼女は一時目が覚めないでしょう。」
「!?…どういうことだ。」
「そういう暗示をかけました。」
「――っ!!」
「それに、君らが彼女らと関わっているのは非常に不愉快です。」
骸はそう言ってツナを見据えた。
「六道輪廻という言葉をご存知ですか?」
目を細めた骸の右目から、死ぬ気の炎がゆらゆらと揺れた。
 
 
マインドコントロール
(薄れゆく意識の中、
君の声が聞こえた。)

 
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