「フゥ太…」
雪詠には、フゥ太の涙の意味が分からなかった。
それにあの写真の違和感―――…
「…やっぱり、うちは…」
忘れかけていた。この世界の未来を。
このままでは、駄目な気がする。
雪詠は拳を固く握り締めた。
さきほどまで自分の後ろにいたはずの沢田君はいない。ならばきっと、物語りは今もまた進んでいるはず。
「バーズヤラレタ!バーズヤラレタ!」
「…ん?」
雪詠は空を見上げた。
そこには木の枝に止まった鳥が1話。
「バーズの、鳥…」
その鳥はバーズヤラレタと繰り返しながらも雪詠の肩に止まるが、すぐに飛び立つ。
飛び立った先に見えたのは、黒曜ヘルシーランドと書かれた廃墟。
一度後ろを振り返った雪詠は背を向け、ヘルシーランドへと向かって足を踏み出した。
 
 
一歩、一歩と
(少女は歩み出す)

 
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