「終わったな」
床に横たわった骸にリボーンは小さく呟いた。
「うん……」
それに対してツナは死ぬ気の炎を浄化し、静かに頷いた。
「そうだ、みんなのケガ!」
「それなら大丈夫。今は結構落ち着いてるみたいだし」
「それにボンゴレの医療班も敷地内に到着したらしいしな。ランチあの毒も用意してきた解毒剤でまにあったそーだ」
雪詠とリボーンの言葉にツナはほっと胸を撫で下ろした。
「というか氷室君大丈夫なの!?」
「あぁ。悪いな、心配かけて。」
「無事ならいいんだけど…」
良かったと力なく笑うツナに悠も同じように力なく笑い返す。
しかし、その顔は真っ直ぐに骸へと向けられた。
「骸…死んでない…よな?」
不安げに骸を見つめた悠は呟く。
悠はゆっくりと骸に近付き、そっとその頬に触れ、ぎこちなく撫でた。
「あの、氷室く…」
ツナがそこへと一歩踏み出そうとした所で怒鳴り越えが響く。
「近づくんじゃねえびょん!!!マフィアが骸さんにさわんな!!」
そこにいたのは床に身体を引き摺らせながらも必死に声を上げる見覚えのある2人がいた。
「……な…なんで…?なんでそこまで骸のために?君達は骸に憑依されて利用されていたんだぞ」
「わかった風な口をきくな…」
「だいたいこれくら屁ともねーびょん。あの頃の苦しみに比べたら」
静かに怒りを口にし、零れ落ちた"あの頃"にリボーンを眉を潜める。
「何があったんだ?」
「オレらは自分のファミリーに人体実験のモルモットにされてたんだよ」
その言葉に雪詠と悠は苦しげに唇を噛んだ。
「お前達は禁断の憑依弾を作ったエストラーネオファミリーの人間だな」
「禁断?それはてめーらの都合でつけたんだろーが」
2人の頭では"あの頃"の記憶がまるで昨日のことのように新鮮に映像が流れる。
 
目の前で血を流し倒れる子供。それは特殊兵器の開発で栄光を取り戻すため、開発にたずさわり死ぬことは名誉なことだと思えと告げられた世界だった。
日に日に死んでいく仲間達。
いずれは皆、こうやって死んでいく。それが定められた世界だった。そんな中――たった一人の人間が、その現状ぶっ壊した。
普段は大人しく、目立つような子供ではなかった。彼は呆然と目を丸くし、座り込んだ少女等をまるで助けるように、彼女等に背を向けていた。
彼は左目に付けられた眼帯を引きちぎり、口元を歪める。
「一緒に来ますか?」
初めて、できた居場所だった。
 
「それを…おめーらに壊されてたまっかよ!!」
その言葉にツナは拳を握り締めた。
「でも…オレだって…仲間が傷つくのを黙ってみてられない…だって……
そこがオレの居場所だから」
そうして復讐者(ヴィンディジチェ)に連れて行かれる3人。
その光景に雪詠と悠は瞳を揺らすのだった。
 
 
終わりとそれから
(君等はなんて言うのかな)

→4章
 
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