ツナ達が入院して4日がたったころ、ツナは筋肉痛からなんとか立ち上がり、山本や獄寺、ビアンキ、雲雀は完全というほどではないが、ほとんどと言って良いほどの回復を成し遂げた。
しかし、本日退院のツナや、元々目立った外傷は無かった悠や雪詠がいることに比べ、そう簡単には治らない人物もいた。
それは骸達に真っ先に囚われたフゥ太だった。
精神的にも身体的にも限界を越えていたのだから仕方がないものだろうとも言われたが、彼はランキングの能力を失っていたのだ。
「ごめんなさい…ツナ兄…」
「謝るなって。それにフゥ太はなにも悪いことはしてないんだ。だから、な?」
「…うん。」
ツナに優しく撫でられたフゥ太は涙を堪えながらも小さく頷いた。
「それから、榊さんに氷室君。わざわざお見舞いありがと」
「お礼を言われるほどじゃないよ。うちなんて結局なにも出来なかったし…」
そう言って眉を八の字にした雪詠にツナが慌ててそんな!!と声を上げる。
「オレ、榊さんがいたから骸を倒せたと思うんだ。なんていうか、勇気をもらったっていうか…」
「そう、かな…」
納得がいかないような複雑な顔をした雪詠に悠が頭をぽんぽんと叩く。
「人の好意は素直に受け取っとけ」
好意を素直に受け取れないのは実際悠だけどね。
内心そう呟いた雪詠は曖昧な笑みを浮かべた。
「そんじゃ、俺はそろそろ雲雀んとこ行くわ」
そう言ってと背を向けようとした悠にツナが慌てて氷室君!!と声を上げる。
「あ、あの、オレ、氷室君に聞きたいことがあって…」
その言葉に悠は困ったように笑う。
「沢田、その話は明日でいいか?」
「へ?」
目を丸くしたツナが気の抜けるような声を溢した。
「2時の屋上で、山本と獄寺も…みんな一緒に、な。」
「…いいの?」
「ん。なんか息苦しくなっちゃった。」
ツナの言葉にへらりと笑みを浮かべた悠にフゥ太が首を傾げた。
「じゃ、また明日」
 
 
へらりと笑う君
(嘘に疲れた少女)

 
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