肌に感じるヒンヤリとした空気。
重々しく感じる瞼をゆっくりと開いていけば見慣れない天井が目に入った。

「…ここ、どこ」
周囲は薄暗く、ヒンヤリとした空気が漂っている。部屋を薄暗くしているカーテンはぼろぼろで所々カーテンが破れたりしている。その破れた隙間からは外の光が差し込んでおり、まだ日が昇っていることが分かった。
「…って、雲雀は…?」
慌てて体を起し、周囲を見渡してみるものの雲雀の影は無い。恐る恐るも立ち上がり、カーテンにそっと手を伸ばす。
カーテンを引いてみれば日差しが部屋に降り注いだ。その眩しさに思わず目を細めていれば後ろからの何かの気配に気付く。後ろを振り返ろうとした瞬間暖かな何かが悠の目を塞いだ。
「悠、」
耳元で囁かれた言葉に何かが脳裏によぎった。
「…悠、」
物寂しく、どこか優しさを伴ったようなその声は、じんわりと心の中に浸水してくるようだった。
「……お前は六道骸か」
「クフフ、よく分かりましたね?」
塞がれていた手が名残惜しそうに悠の目元から離れる。
後ろを振り向けば予想通りの人物が立っており、悠は骸を睨みつけた。
「お前の目的はなんだ」
「僕の目的?…そうですね」
骸は目を細めながらも悠の頭に掌を押し付けた。
「僕たちを、思い出してもらうことですよ」
 
 
追憶にふけた少年
(君は、誰なの?)

 
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