「え、そうだったの!!?」
「あれ?榊さん知らなかったの?」
「うん…確かに最近悠は忙しそうだったけど何も言ってくれなくて…」
そう言いながらも雪詠ははあ、と溜め息をついた。
最近、並盛中の生徒が襲われているらしい。沢田君の話しによると風紀委員や不良らの喧嘩かなにか、と言っていたがうちはどこか引っ掛かっていた。
別に確証があるわけでもない。ただ、最近感じている胸の突っ掛かりと同じ、なにか大切な――
「風紀委員だ!!」
ツナの声にハッとした雪詠は目の前の光景にうわあと顔を引き攣らせた。
正門付近にはリーゼント頭に学ランを着た風紀委員が大勢見受けられる。あの中を通って行くだけでも勇気がいるんじゃないかと思う。
「やっぱ不良同士のケンカなのかな…」
「ちがうよ」
ツナの言葉に否定の声が飛ぶ。恐る恐るも声の元を辿れば自分らの後ろには雲雀と悠がいた。
「身に覚えのないイタズラだよ…もちろんふりかかる火の粉は元から絶つけどね」
雲雀の言葉にツナが顔を青く染める。
雲雀の後ろで小さく頭を抱えた悠が深く溜め息をついているのが見えた。それを見ながらも雪詠は固く拳を握り締める。

(…なんで…?なんで、こんなに、)

携帯にかかってきた電話に出た雲雀を見たツナがじゃあ、と言葉を繋げる。
「失礼します」
そう言ってそこからそそくさと退散しようとしていたツナに雲雀が携帯の通話を切りながらも無表情に告げた。
「君の知り合いじゃなかったっけ。笹川了平……やられたよ。」
その言葉を聞いたツナが病院に走り出す。
うちはと言えば、その背中を追いかけるわけでもなく、ただただその場に立ち尽くしていた。

(なんで、こんな…っ)

「雲雀、行こう」
「元々そのつもりだよ。」
「雪詠、変な事に巻き込まれないようにしろよ?いいな?」
そう言ってうちの隣を通り過ぎて行く悠と雲雀さん。

ねえ、悠。うち、とても嫌な予感がするの。知っちゃいけない、気がするの。これ以上前に進んだら、駄目な気がするの。
分かんない。分かんないよ、この胸騒ぎも、この世界のことも。未来が、分かんないの。知ってるはずなのに、この先の物語が分かんないよ…っ
 
 
襲撃
(視えないよ、)

 
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