「珍しいですね。ディーノさんが俺達を訪ねて来るなんて。」 悠の言葉にディーノはヘラッ、と笑う。 「実はリボーンに呼び出されちまって」 「でもなんでうちらの家?」 雪詠の言葉にディーノが首を傾げる。 どうしてなんだ、と思考を巡らせていれば待っていた人物の声がした。 「お前らの話だからな」 「リボーン!!」 「ちゃおッス」 窓から登場したリボーンは勝手に上がり込んだにも関わらず、何食わぬ顔をしている。 そんなリボーンに悠は思わず苦笑した。 「…で、何の用だ?」 悠の言葉にリボーンがくい、と帽子のフチを伏せた。 「単刀直入に言う。お前らは何者だ?」 「…何者だと聞かれても、ただの中学生としか。」 「それはねえーな。ただの中学生が擬似個人情報を作れると思うか?」 リボーンの言葉にディーノはまさかと2人を見た。 「…根拠は?今の時代個人情報なんて容易く作れる時代だぞ?」 「それがシステムに進入して個人情報が作られたプログラムがお前らの生年月日に制作されたものに作り変えられていたとしてもか?ましてやプログラムの暗号がただの中学生に解けるもんじゃねえ。」 「悠…?」 雪詠が悠を見つめる。 雪詠が知らないのは当たり前だ。 そんなこと一言も言ってなかったのだから。言わなくても良かったから。 あくまでも、"バレなければ"、の話だが。 リボーンとディーノが悠を凝視する。 その視線に負けたと言うように悠は深く溜め息をついた。 「作らなきゃ、いけなかったから」 悠の言葉にリボーンはピクリと反応する。 「どういう意味だ?」 「そのまんまの意味。作らなきゃいけない。生きていけない。特にお前らと関わるとなると、な。」 ディーノが警戒をして身を固める。そんなディーノに何もしねえよと悠は面倒臭そうにあしらう。 「雪詠、悪い。お前の話しを聞いたら居ても立っても居られなかった。」 「…もしかして、」 雪詠の言葉に悠は困ったように微笑んだ。 そんな悠に雪詠はぐっと握り拳を作る。 彼女は、彼らがマフィアだと、裏の世界の人間だと知ったからこそ、"作った"のだ。 これからのことを、考えて。何も言わなかったのは彼女の身勝手なエゴ。 悠は本当にどこまで言っても身勝手だ。でも、それに助けられている自分がいる。だから恨めないし、憎めない。でも、自然と腹が立つ。 「悠、ここからはうちが話すね。…言ってること、だいたいだけど、分かったし。」 「…ん。頼む」 悠が納得したのを見てから雪詠はソファーに座ろうかと3人を促す。 自分もソファーに座ったところで、雪詠は目の前に座るリボーンとディーノを力強く見詰めた。 「信じてもらえるかは分からないけど、話すよ。」 この世界が漫画と言う以外の、話しだけどね。 身勝手なエゴ (エゴ返し) ←|→ |