「いつペアとか決めたんだよ…」
「何、文句あるの?」
「…別に良いけどさ」
雪詠と来る予定だった夏祭りは見事風紀委員会という予定で潰れてしまい、屋台からショバ代を回収することになった悠は渋々も雲雀と屋台を回っていた。
次はあそこだよ、との言葉についていけばチョコバナナの店。それを見た悠が、あーあと声を漏らす。
「チョコバナナ食べたかったな…。」
「なら買えば?」
「え、いいのか…?」
「仕事をちゃんとやってくれれば問題ないよ」
「やっと、」
爛々と目を輝かせた悠に雲雀は思わず口元を緩めた。
どうせだからショバ代も一緒に払ってもらおうか、なんて思いながらもチョコバナナを2つお願いしまーす!と声を上げる悠の元へ行く雲雀。
…まさかとは思うが彼は2つも食べるつもりなのだろうか。まさか、と思いながらも雲雀はその考えを胸に閉じ込める。
「って山本と獄寺?」
「あ、氷室君!!」
「沢田も…!」
ほらよ、と山本に差し出されたチョコバナナを受け取りながらも悠は目を丸くしていた。
「5万」
「ヒバリさんー!!?」
払えないなら屋台をつぶすと無表情に言う雲雀の後ろでは今まさにつぶされている店が後ろに見える。
ツナはビクビクしながらも5万を差し出した。それを受け取った雲雀はたしかに、と答える。
「…なんか悪いな。」
「ううん、大丈夫!!…そういえば榊さんは?」
「笹川さんと三浦と一緒に来るって聞いたが…、」
「…君、いつまで話してるつもり?」
「ん、…悪い、行くな。」
雲雀の言葉に慌てて悠は走り出す。
あっあとから一緒に花火みよーね!とのツナの言葉に口元を緩ませながらも雲雀の背中を追った。
慌てて隣に立てばちらり、と1件の店を見ていることに気がついた。
「?どうしたんだ」
「あの店、昨日ひったくりされたらしいよ」
「ああ…それか。毎年あるんだろ?」
「うん。まあ、今年は咬み殺すつもりだけどね」
雲雀の言葉に悠は思わず苦笑する。
「で、情報は?」
雲雀の言葉に悠は口角を上げた。
「並盛神社前にたむろってるみてえだぜ?」
その言葉に雲雀は嬉しそうに怪しく笑って見せる。
本当、戦闘マニアだななどと思いながらも悠は小さく溜め息を付いた。…まあ、人のことを言ってはいられないのだが。
自然と決まった目的地に足を進め、階段を登り終えた雲雀はますます口角を上げる。
「うれしくて身震いするよ。追跡中のひったくり集団を大量捕獲。」
「ま、余計なのが多いけどな。」
「ヒバリさんに氷室君!!!」
目を見開いて驚きを露にしたツナの隣で雪詠が助かったとばかりに笑みを浮かべる。
なんであいつらまでいるんだ、と一瞬思ったがツナの胸倉を掴んでいた男になるほどと納得する。
確か今年ツナ達と行った海水浴でライフセイバーなどとほざいていた連中だ。
「ムカツクアホが二人。ちょうどいい」
「何人いるの――!?」
ツナの胸倉を掴んでいた男がしめてやれと叫んだ途端にわっと群がってくる男達に悠は溜め息を付いた。
「ったく、めんどくせえーな…」
そう言いながらも悠は指を鳴らす。
死ぬ気になったツナが来やがれと声を張り上げると同時に聞き慣れた声がツナを呼んだ。
「10代目!!」
「助っ人とーじょー」
「おい、榊!お前は浴衣だしできるだけ離れるなよ!」
「うっ、うん!でも殴るのはできるよ!!」
ほら!と近付いて来た男に思いっきりビンタを喰らわす雪詠に獄寺は思わず顔を引き攣らせた。
パアンと派手に音を鳴らしたところから相当痛かったことが伺える。
それを横目見ながらも、悠はピンチになったら助けようと小さく呟きながらも群がる男達に攻撃を仕掛けるのだった。
 
 
夏祭り
(初の共同戦)

 
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