「終わった…!」
「…うん。ミスもないみたいだね」
「うっし、」
雲雀の言葉に悠は小さくガッツポーズをし、鞄を手に立ち上がった。
「それじゃ、お先に失礼します。」
「夏休み中に呼び出しするかもしれないから覚悟しといてね」
「…善処する。」
苦笑しながらも悠は応接室のドアを閉めた。
じめじめとした暑い夏。
明日からやっと夏休みが始める今日は終業式の放課後で、昼から一緒に買い物にでも行くかと雪詠と約束した悠は慌てて靴箱に向かっていた。
この時期には暑苦しい学ランを着たリーゼント頭の風紀委員に挨拶をされながらも上靴から靴に履き替え、炎天下の中商店街に向かって走り出す。
ジジジ、と聞こえる蝉の声はもう夏かあとも思えてが来るのだが、汗が流れるようなこの気温の中ではうざいとしか言いようがない。
雲雀から着ろと命令口調で渡された学ランに冬はな、と言っておいて心底良かったと思う。
腕につけられた腕章はもう学校を卒業するまで取れないと諦めているのだが。
「雪詠!」
「あっ、悠!」
待ってたよ、との雪詠の言葉に悠は悪いと頭を掻く。
まあ仕方ないかと言われて悠は思わず苦笑を漏らした。
「えーと、今日は何買うんだっけ?」
「野菜が主だよ。あと明日の魚とか、弁当用のハンバーグとか」
「…腐らねえようにしねえと」
「あとアイスも買おうか」
「そうだな、アイス。」
「悠は本当アイス好きだねー」
「年中食っても美味いしな。」
「それ理由になってない」
だってうめえじゃん、と口尖らせる悠に雪詠は小さな子どもみたいと笑う。
「ん…あれは…、笹川さんと…三浦?」
「え?あ、本当だ!」
何してるのかな?と雪詠に尋ねられて悠がさあ、と首を傾げていればこちらに気付いた2人が大きく手を振った。
「氷室さんに雪詠ちゃん!」
「2人ともどうしたの?」
「実は明後日の日曜日に毎回ハルちゃんとケーキ食べに行ってるんだけど、用事できちゃって…頼んで今日にしてもらったの。」
「そうなんだ…!」
「あ、よかったら2人も一緒に食べない?」
京子の言葉に2人は顔を見合わせる。
京子の隣ではハルが名案です!と目を輝かせていた。
「…時間あるしお邪魔でなければ」
「全然邪魔なんかじゃないです!さ、氷室さんも!」
「お、おう…?」
ハルに背を押された悠が返事を返す。
「大丈夫です!ハルは氷室さんが女の子ってことは認識済みですから!!」
「いつの間に…?」
「レッツゴーです!」
「ふふっ、じゃあ雪詠ちゃん行こっか」
「うん!」
 
 
女の子組
(たまには)

 
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