ツナ達だけでは心配との言葉にお花見の場所取りに同行することになった雪詠と悠。公園に着けば人1人いない公園に安心した声が上がる。
「一番乗りだ」
「これで殺されなくてすんだ〜」
「ここは立ち入り禁止だ」
そう言いながらも木の影から姿を現したのはリーゼント頭の不良だった。
顔を青白くさせたツナを尻目に悠は僅かに目を見開く。
「お前は…風紀委員のやつか」
「氷室さん!?なぜこんなところに…」
「花見の場所取り。」
「氷室君すごいナチュラルに話してるー!?」
ツナが驚きの声を上げながらもありえねー!と声を上げる。
「悠、あれでも風紀委員長の補佐らしいからね」
「初耳なんですけどー!?」
「何やら騒がしいと思えば君達か」
ふいに聞こえた聞き覚えのある声。
恐る恐るもそちらへ目を向ければそこにいたのは噂をすれば影、雲雀恭弥だ。
「僕は群れる人間を見ずに桜を楽しみたいからね。彼に追い払って貰っていたんだ。
でも君は役にたたないね。あとはいいよ、自分でやるから」
雲雀は男にそう言い残し、追い払うかのように睨みつけた。
それを悠は理不尽な暴力は無いかとじっ、とその光景を見据える。
「いやー絶景!絶景!」
桜の木の下から現れたのは片手にビール瓶を持ったシャマルだった。
「オレが呼んだんだ」
「リボーンが呼んだのかい!!」
余計なことするなと言いたげに雪詠が声を上げる。
雲雀に絡みに行ったシャマルは無残にもトンファーで殴り吹っ飛ばされていた。
そんなシャマルにだせえと悠が呆れたように呟く。
「どーだヒバリ。花見の場所をかけてツナが勝負すると言っているぞ」
「なっなんてオレの名前出してんだよー!!」
「ゲーム…いいよ。どーせ皆つぶすつもりだったしね」
「え、俺も?」
「…君は風紀委員の花見に参加してもらうよ。君を病院に送りにするまで殴るのは骨が折れそうだ」
「これって喜んでも良いのか…?」
「それじゃあ君達五人とそれぞれサシで勝負しよう。お互い膝をついたら負けだ」
「え?ちょっと待っ…え?五人ってうち入ってる?え?」
「雪詠…どんまい」
「ええー!!!」
「まあ榊は最後っつーことで!その前にオレらがどーにかすりゃいいんだし!」
「さすが山本だな。」
「ハハッ!サンキュー!!」
山本はカラカラと笑いながら悠の頭をぐりぐりと撫で回した。
「10代目、オレが最高の花見場所をゲットして見せますよ!だから榊もそんな心配すんじゃねー」
「う、うぃっす…」
獄寺はダイナマイトを手に雲雀に突っ込み、すれ違いざまにダイナマイトを空中に投げ爆発を起した。
「で…?続きはないの?」
「なっトンファーで爆風を!?」
「二度と花見をできなくしてあげよう」
そう言って雲雀はトンファーを振りかざす。それを避けた獄寺は避けた拍子に思わず片膝をついた。
「獄寺はヒザをついた。ストップだ」
「やだよ」
「次、オレな」
「……!」
獄寺と雲雀の間に入ったのは山本だった。
先ほどまでバットだったものは何故か刀へと変化していたが今一々突っかかっていても仕方が無いと悠は喉まで出掛かった言葉を呑み込んだ。
これならやりあえそーだなと笑ってみせる山本に雲雀は容赦なくトンファーを振りかざす。
地面に叩きつけられた山本を見たリボーンはツナに死ぬ気弾を打ち込んだ。
「君は変わってるね、強かったり弱かったり。よくわからないから殺してしまおう」
そう言いながらも雲雀はトンファーを振りかざす。
なんとかレオン(はたき)で回避するツナだったが、ツナの死ぬ気が解けてしまい咬み殺されると覚悟したツナは硬く目を瞑る。
しかし、いつまでたってもやってこない痛みにツナが恐る恐る目を開いた。
そこには膝をつけている雲雀がいた。
その事実に目を見開かせ驚く周囲にリボーンは桜の木に吹っ飛ばされていたシャマルを指差す。
「シャマルは殴られた瞬間にトライデント・モスキートをヒバリに発動したんだ」
「ちなみにこいつにかけた病気は桜に囲まれると立っていられない"桜クラ病"つってな」
その言葉も聞かずに雲雀は立ち上がる。
「約束は約束だ。せいぜい桜を楽しむがいいさ」
そう言い残し、おぼつかない足取りで足を進める雲雀に悠はあっと言葉を零す。
「悪い。俺、行くわ。」
「え、ちょっと…!!悠!?」
悠を追いかけた雪詠の右手が、空を切った。
慌てて雲雀の元へ駆け寄る悠に、雪詠は寂しそうに目を伏せるのだった。
 
 
お花見
(行き場の無い手が、)

 
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