沢田家の居候の子ども達の子守りを手伝うためにやってきた雪詠と悠は2人で遠い眼をしていた。
それは今から始めることになる雪合戦で子ども達よりも同級生(先輩)のほうが熱くなっているからで、一言で言うとただ呆れていた。
「東軍はツナ・山本・雪詠・イーピン・フゥ太だ。白マフラーだぞ。対する西軍はディーノ・獄寺・悠・了平・ランボ。赤マフラーな」
リボーンの言葉になぜ自分が10代目と違うチームなのかと抗議する獄寺の意見は虚しくも終わり、塹壕(ざんごう)をせっせと作った両チームを見てリボーンはスタートの合図をしていた。
勝負が始まり、さあ戦いが幕を開けた!…と雪球がすぐに行き交うと思っていたのに、この状況の中、今出れば猛攻撃になると分かっているからなのか沈黙が続いていた。
これじゃあ勝負もあったもんじゃない。
その中、一番初めにもう耐えられんと飛び出したのは了平だった。
球も持たずにあれはただの馬鹿じゃねえーか!とツッコミの声を上げる赤マフラーチーム。
そこで了平に向かって雪玉を投げたのは山本だった。
さすが野球部、と言うべきか。猛スピードで了平の元へ飛んでいく雪玉に誰もが了平は終わったと思ったが了平はものともせずに雪玉を殴り落とした。
「そんななまくら玉、この"極限ストレート"の前ではマシュマロ同然!!」
了平に雪玉を必死に投げる白マフラーチームの中からイーピンが飛び出し、レオンを狙う。
餃子拳を見事に操るイーピンにディーノは口角を上げた。
部下無しではへなちょこのディーノが見事に雪玉を全く関係のない真後ろに飛ばすのをツッコミながらも獄寺は白マフラーチームの異変に気付く。
イーピンの餃子エキスが風向きの問題により、白マフラーチームに影響を及ぼしていたのだ。
動けなくなった白マフラーチームを見た獄寺が静かに立ち上がった。
「10代目、オレです。スパイ活動が終了したのでそちらに戻ります!」
獄寺が投げたダイナマイトの爆発が了平が巻き込まれたのは言うまでもない。
「ならば我々も!!ボスを守――る!!!」
「塹壕からなんか出てきたー!」
塹壕から飛び出してきたディーノの部下はさすがに震えていた。今まで雪の中にいたのだから当然である。
「あーもーめちゃくちゃになってきたぞ」
「え、ってか俺こっちでいいの?」
「なに言ってんだ!テメーもボンゴレだろ!来やがれ!」
「悠は渡さないぜ!」
「ちょっ、ダイナマイト投げんな!!」
「よくも私抜きで遊んでくれたわね。勝つのは私達、毒牛中華飯!!!」
「あれ、イーピンとランボが向こうに…」
「…毒サソリに脅されたみてーだな…」
「3チームになったことだし雪合戦のルールを変えねーとな。レオンをうばい合うのは今までどーりだが今回は捕まえた時点で勝ちだからな。ただし今度のレオンは逃げるぞ。レオンTURBO(ターボ)だ!!」
勝負はもちろん、チームのメンバー編成までごっちゃになっていた。
リボーンの言葉に全員がレオンTURBOに向かって走り出し、ビアンキがディーノの部下へ向けて毒入り雪玉を投げ出した。
ディーノの部下が1人倒れる中、ディーノは銃を取り出し、実弾入り雪球を打った。
雪合戦の領域はすでにない。
今の内にと抜け駆けをしようとした現ボンゴレチームに集中砲火が降りかかったそのとき、フゥ太が無重力により防壁を作り出した。
その防壁を見いていた悠がふと視線を逸らしたとき、目を見開いた。
悠がディーノの服を引っ張る。
「ディーノさん、あの階段の上にレオンが、」
悠の言葉に頷き追いかけるディーノ。それにつられるように走り出した山本は流石と言うべきか足が速い。
山本とディーノの一騎打ちと見える一瞬だったが、部下が見えないことによりディーノは足を滑らせ山本を巻き込んで階段から転がり落ちた。
「残るはツナ・ハヤト・雪詠・悠・フゥ太そしてロマーリオのみ」
ビアンキの言葉にディーノは笑みを浮かべる。
ディーノの視線の先には獄寺のダイナマイトにより溶けた雪の上に転がったエンツィオだった。水を吸収して巨大化するエンツィオを見たビアンキがハッと顔を強張らせる。
慌てて獄寺の元へ駆け寄るビアンキだったがエンツィオはそんな2人と近くにいたメンバーを巻き込み、冬眠のためか地面に倒れ込んだ。
エンツィオの目と鼻の先でなんとか助かったメンバーは残り3人。
レオンを手にしようと駆け出したツナは雪に足を引っ掛け豪快に転ぶ。
ツナの足に引っ掛かりそうになった雪詠がわっと声を上げたとき、それと同時に悠もあっと声を上げた。
「なにをしてるんだい?」
「雲雀…お前こそなにやってんだ?」
「雪合戦でもしようかとね。といっても群れる標的に一方的にぶつけるんだけど。ここで会ったのも何かの縁だ。今日は君達を標的にしようかな」
雲雀の言葉にツナは顔を青くし、とっさに顔をガードするように盾を持つ。
雲雀の手の中にいるレオンがゴクリと息を呑むものの、仕事があるからいいやと言い残し、雲雀はその場を後にした。助かったと冷や汗を拭うツナだったが自分の手の中にある縦を見て顔色を変える。
「うそ――!!」
雲雀にすっかり惚れているイーピンが爆発するまであと1箇。
 
 
雪合戦
(逃亡者2名)

 
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