きゃあきゃあと聞こえる黄色い声。
一段と盛り上がっているのは今日がバレンタインだからで、お目当ての男子に群がる女子達を見ていると気合が入ってるなあ、と雪詠は他人事のように思っていた。
囲まれてる男子…と言っても極々少数の男子は笑顔で受け取ったり、来るなとばかりに睨みつけたり、受け取ったチョコを見てなんで俺?と無表情ながらに首を傾げたりしている。ちなみに言うと最後のは悠だったりする。
だがその無表情はいつもよりは緩い。それはきっと捨てられると思っていた悠の手作りチョコ(うちが無理矢理作らされた)をあの人が受け取ってくれたからなのだろうか。
本人は今は男装しているから不自然だろと文句を言っていたが作らせて正解だったと思う。ちなみに作らせた理由は雪詠が悠のチョコを食べたかっただけである。
「じゃあ私達も作りに行こ!」
「うん!」
京子の言葉に頷き、雪詠は鞄を持ち足を進めた。
今日、京子に誘われハルを合わせた3人でチョコを作ることになっていたのだ。
どんなチョコ作ろっか?と聞かれて2人で悩みながらも歩きなれた道を歩く。気付いたころには沢田家の前についており、決まらなかったねと2人は笑い合った。
「2人ともー!こんにちはですー!」
「あ!ハルちゃん!」
「こんにちは」
キッチンから顔を出し、ブンブンと勢いよく手を振るハルに苦笑しながらも挨拶をすればあら、と奈々さんがリビングから顔を出した。
「今日は台所好きに使ってちょうだいね!」
「ありがとうございます!」
「それから実は、ビアンキさんが教えてくれるって言ってくれたんですよー!」
「え、」
それはやばいんじゃないか、とハルの言葉に固まっていた雪詠の手を京子が引く。
数分後、沢田家にパンツ一丁で帰り着いたツナが顔を赤くしたり青くしたりするのは言うまでもない。
 
 
バレンタインデー
(Not Happy!)

 
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