家を出れば黒服の集団。
雪詠等に気付いた面々がボンジュールノ、と挨拶をするのを見て、雪詠は思わず苦笑を漏らした。良い人達だと言うことは知っているものの、恐ろしく敵わない。
挨拶にと日本人特有の頭を下げる作業を繰り替えしていれば聞き慣れた声がした。
前を見ればツナを含めた獄寺や山本がおり、挨拶を交わしながらも小走りで近寄る。
未だ眠そうに目をしばたたかさせる悠に、山本は笑いながらも悠の背中を叩いた。中々痛そうである。
沢田家の前でよっと陽気な笑顔で挨拶をしてくるディーノさんに挨拶をし、沢田君と悠の肩を引き寄せ肩組をしている山本君。
気軽に10代目の肩引き寄せんじゃねーっ!!と怒っている獄寺の隣に行き、じゃあうちとする?と雪詠が言えば顔を真っ赤にして獄寺に怒鳴られた。
そういえばさ、と呟く悠に沢田君は気付き、どうしたのと尋ねれば獄寺とディーノの知り合いかという質問。
なんでそんな質問をするのか分からない雪詠にだってさと悠は言葉を溢した。
「さっきディーノさんの前に通る前に獄寺が顔しかめてたから」
「え、そうなの?」
「そーいや、確かに獄寺突っかかってたもんなー」
「うっ、うるせー!!」
「なんでなの?」
雪詠の言葉に獄寺はぐっと山本に対する言葉を呑み込む。
「…あいつの力量は確かに認めてる。ファミリーでも強いほうだし、あいつにもボスの素質がある」
「ディーノさんそんなにすごかったの?!」
ツナの言葉に獄寺は渋々も頷いた。
「ええ。あいつが先代が傾けたファミリーの財政を立て直したのは有名な話っス。マフィア、キャバッローネファミリーつったら今じゃ同盟の中でも第3勢力ですしね」
獄寺の話しに目を輝かせたツナに獄寺はぼそりと呟く。
「どっちにしろオレは好かねースけどね」
獄寺の言葉にツナは目を丸くした。
「え…な…なんで?」
「年上の野郎は全部敵スから」
「範囲広すぎだろ」
獄寺の言葉に悠がつっこみを入れる。
そんな悠の隣で山本は不思議そうな顔をしていた。
「なあツナ。さっきマフィアって言ってたけど…変な会社名だな。おまえのおじさんの会社…」
山本の言葉に雪詠は思わずずっこけそうになった。
どう考えても違うでしょ、と言えばそうなのか?と目を丸くする山本。本当に山本は抜けている。というか天然だ。
そんなことを思っていれば隣を勢い良く車が通って行く。
危ねえと悠が顔を顰め、それを横目で見たとき、車の中から縄が飛び出しツナに絡みつき車に引きずり込んだ。
一瞬の出来事に目を丸くする一同だったが、獄寺はハッとした顔で10代目!!と声を上げた。
「ありゃ、ここら一帯を締めてるヤクザ、桃巨会の車だな」
「!!リボーンさん!!」
いつも通りどこから出てきたかも分からないリボーンは淡々と言う。
「ヤクザといえばジャパニーズマフィアだ。大人マフィアに中学生のお前達がかなうわけねぇ。ここは警察にまかせろ」
「まかせられません!!」
「警察は頼んだぜ小僧!!」
そう言って獄寺と山本は車を追って走り出す。
その後ろ姿を眺める悠に雪詠は制服の袖を引っ張った。
「悠、行こっ」
「ん、そうだな。」
一瞬リボーンをちらりと見た悠は雪詠につられて走り出す。
その後、桃巨会を容易く壊滅させたことは言うまでも無い。
 
 
ディーノ再び
((また面倒事か))

 
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