「じゃあリボーンに会いに?」
「それからボンゴレ10代目に会いに来たってのもあってな」
「ったく、うちのボスも横暴だよな!」
そう言いながらも大口を開けて笑いだすスーツの集団を見て雪詠は思わず苦笑した。
帰宅途中、家の前(詳しくは沢田家の前)にスーツに身を包んだ男が大勢いたのだ。
帰宅途中のため、家に入れないで困っていたときに話かけられたときはビクビクしていたのだが、リボーンたちの知り合いと知った瞬間フレンドリーに話かけてきてそして今現在に至る。
「嬢ちゃんも大変だろ」
「えぇ…まあ…」
「結構巻き込まれてますし、苦労は耐えませんね。」
「ハハハッ!!そりゃあ同感だ!!」
悠の言葉に再び大口を開けて笑い出す男たちに雪詠は人知れず溜め息をついた。
「あれは!!」
「ん?」
そのとき、聞こえた呟きにふと上を見上げる。
太陽の光に少し目を細めながらも見上げた先にあったのはどこかで見た危険物。なんだっけ…どっかでみたな…そうだ。確かランボが持ってた手榴弾…手榴弾!?雪詠は思わず悲鳴を上げた。
「てめーら、ふせろ!!」
そしてそれを追いかけるように出てきた人影は、片手を大きく振りかぶって器用にも鞭で手榴弾を上にあげる。
だがそんな鞭をすり抜け、1つの手榴弾がスルリと鞭から滑り落ちた。嘘だろ、と言いたげに重力に逆らえずも男は焦りを露にする。
「落としやがって、」
苦々しい顔をした悠が舌打ちを零した。
鞄で打ち上げてくれ、との悠の呟きに雪詠がへ、と目を丸くした。その間にも悠は塀に飛び乗る。
悠が塀に飛び乗ったほぼ瞬間に鞭を持った男が悔しそうに顔をしかめながらも塀の上に足を付けた。そんな男に悠は迷い無く鞭を奪い取った。
おいっと男が言葉を溢すのに無視を決め込み、悠は奪った鞭を両手で伸ばす。
(――大丈夫。いける。)
何かを殴ったような鈍い音と同時に自分を呼ぶ声が聞こえ、空中に浮く手榴弾に目を向ける。苦手意識のある高さに思わず足元が一瞬ふらつくが今はそんなことを思っている場合じゃない。
足元に神経を集中させ、悠は飛び上がりながらも鞭を振りかざす。
鞭から感じる捕まえた手応えに薄く笑い、力の限り高く振り上げた。
それと同時に地響きを伴った爆発が空で起こるのを見ながらも、悠は足を地につけ、爆発の風から身を守るように腕で顔をガードする。
一時しておさまった風に恐る恐る腕をどかした悠は深く溜め息をついた。
「はぁ…っ」
爆発がおさまったと思えば周囲から聞こえるのは陽気な笑い声で、その笑い声に雪詠は呆然とした顔で立ち尽くしていた
「またボスのやんちゃだな!」
「一日一回はドッキリさせやがる」
「お2人さん、大丈夫かい?」
自分らを心配するような言葉。曖昧に頷いたところで予想外の誤算に悠は顔を引きつかせた。
ああ、あの赤ん坊はなんと言ってくるのだろうか。どこかで身を潜ませる赤ん坊に恐怖意外の何を抱けばいいのだろうか。
 
 
跳ね馬ディーノ
(赤ん坊の教え子)

 
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