「山本君ちからおすしをいただいたのよ」
「おいしそー!」
「寿司……」
奈々の言葉に雪詠と悠は目を輝かせた。素直においしそう!と言われた山本は嬉しそうにどんどん食ってくれよと笑う。
今日はリボーンの誕生日であり、明日はツナの誕生日。
最初はリボーンだけの誕生日会を予定されていたのだが可哀想なことに綺麗さっぱり誕生日を忘れられたというツナの呟きにじゃあ一緒に祝おうという話になったのだ。
ツナはなんとも言えない複雑な顔で、リボーンの誕生日会に渋々も同行していたのだが山本からの豪華なすしに目を輝かせていた。
山本の持ってきたすしによって賑やかになる中、ツナはふと違和感を感じる。
「みんないるハズなのに何かいつもと雰囲気ちがうよーな…」
「あぁ…あれじゃね?」
「獄寺君!!」
ツナの言葉に部屋の隅を指差した悠。悠の指の先を辿ったツナは目を丸くした。
そこにはビアンキと同じ空間にいるせいか顔を青白くさせ、うずくまる獄寺。無念ですと一言言い残し、ガクリと体を地に着けた獄寺にツナは思わず声を上げた。
「せっかくのご馳走なのに」
そう言いつつもすし以外に眼中なさ気な雪詠はねー?、と悠に言いながらもすしを口に運ぶ。
「可哀想だから、寄せておいてやろう。」
そういって獄寺のお皿にすしを丁寧に装っていく悠に山本が獄寺の母親みてー!!と大口を開けて笑った。失礼なと言いながらもめんどくさそうな表情浮かべていた。
「山本は80点だ」
「80点?点数とかあるの?」
「そうだぞ。最高点のやつにはホストから豪華商品をもらい、最低点のやつは死ぬ」
『死…!!?』
リボーンの言葉に雪詠と悠は目を白黒させる。その後ろではツナも同じように目を白黒させていた。
「点数はボンゴレジャッジボードにはられるからな」
最終的にボードに書かれていく数字はどれもこれも高得点のもので心配だが悠はまあ、と思う。
1点のランボいるし、大丈夫か。
「雪詠と悠はペアだったよな?」
「うん。そーだよ」
「え…?」
リボーンの言葉にツナは声を漏らした。
「ペアっていーの?」
「あぁ、ペアは許可されてんだ」
雪詠は手に持っていた袋をリボーンに渡した。
「うちらは2人で選らんだコーヒー豆とマグカップ!」
雪詠からその2つを受け取ったリボーンはコーヒー豆を見ておっと声を上げる。
「どうだ?」
「これは俺の好きな豆なんだぞ。サンキュー!」
「マグカップはうちが選んで、悠はコーヒー豆選んだんだ。」
「中々いいセンス持ってんな、おめーら」
そう言いながらもリボーンはボードに95点と書き込む。それを見た雪詠が悠にハイタッチを求め、2人でハイタッチを交わす。
「それからこれは沢田君に!」
「え!?」
雪詠の言葉にツナが目を丸くする。
「…忘れるわけねえだろ。」
「2人とも…!!」
ツナは涙ぐんだ目で嬉しそうに雪詠からプレゼントを受け取る。
開けてもいい?と尋ねれば雪詠がうん、と頷いた。
中に入っていたのはロケットペンダントだった。そのプレゼンを気に入った様子のツナに雪詠が胸を撫で下ろす。
「それからこれは俺からな?」
「うん!ありがとう!」
悠は封筒をツナに渡し、人差し指を開けた。
「それと、今は開けるな。ツナが迷ってるときに開けてくれ」
「え?」
「元気の出るおまじない」
悠の言葉にツナは思わずドキリとした。
(氷室君もしかして、意外と天然たらし…?)
そんなことを考えながらもツナは2人が覚えていてくれた自分の誕生日と、渡されたプレゼントを見て思わず笑みを浮かべた。
そんなツナが骨折し、病院で誕生日を迎えるという不幸が訪れるまで後少し。
 
 
バースデー
(彼に幸運を)

 
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