あの人が待ちに待った運動会。
雪詠と悠はハッキリいってこういったイベントには興味を持たない人間であった。
もーお兄ちゃんったらーと困ったように笑う京子に雪詠は複雑そうに笑う。
運動会を待ちに待った人とは、あの人しかいない。了平さんだ。
落ち着きの無い了平を見守る京子から視線を外す。そこで雪詠はツナたちと合流している悠に気付き、小走りで近付いた。
「悠!どうしたの?」
「榊さん!!」
「あ、沢田君、熱は大丈夫?」
「う、うんっありがとう!氷室君が薬くれたし、大丈夫みたい!」
「そっか!」
ツナの言葉を聞いた雪詠は安心したというように笑う。
無理矢理了平に総長だと担ぎ上げられたツナのために(京子は気が付いていないようであったが、)京子と2人でハチマキを作ったのだ。
それを朝、ツナと会った雪詠がツナにハチマキを渡そうとした時に、ツナの顔色が悪いことに気が付いたのだ。
ツナと別れ悠と登校しながらもツナの体調が悪そうだと話せば悠はその後、自分と別れた後に、保健室から薬を持ちツナの元へと行っていたらしい。
そんな2人の気遣いに、ツナは思わず涙を浮かべた。
「…ま、無理すんなよ。」
「うん…氷室君、ありがとう!それから、榊さん、ハチマキありがと!」
「どういたしまして!」
「なんだ、いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
「悠羨ましい?」
「別に」
フイッ、と視線をそらす悠に雪詠は嬉しそうに笑った。
『おまたせしました。棒倒しの審議の結果が出ました。
各代表の話し合いにより今年の棒倒しは A組対B・C合同チームとします!』
その放送はツナを激しく動揺させるものだった。
「そんなーっ!俺生きて帰れるの〜!!?」
「大丈夫!殺人は警察沙汰になるからね!!」
「そんな現実的な言葉は期待してないから!!」
「骨は拾う。」
「そんなこといわないでよ!!」
ツナは雪詠と悠の言葉に先ほどとは別の意味での涙を浮かべた。
そんなとき、とぼとぼと了平がA組の元へと帰還した。A組は了平の元へと押し寄った。
「笹川さん!!2対1なんてマジスか?」
「どんな話し合いだったんですか!?」
「多数決で押し切られたんすね」
卑怯な、と呟くツナに了平はいいやと否定した。
「オレが提案して押し通してやったわ!!」
そういいきった了平に、A組一同は意味が分からないと顔を青くさせた。
「一回で全部の敵を倒したほうがてっとり早いからに決まってんだろ」
そこに登場したのはゾウの被り物にボクサーパンツを履いたリボーンだった。スルスルと棒をつたってが降りてきたリボーンに了平は元気良く声を上げる。
「さすが師匠!!オレも同じ意見です。向かってくる奴は全て倒す!」
目の前で意気投合し始める2人にツナはあんたたちだけでやってくれと頭を抱えるのだった。
もちろん結果はボロ負けである。
 
 
棒倒し
(散々な運動会)

 
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