「ソーメンうめえー」
「なんで2人がいるのー!?」
うまうまと氷水に浸された冷たいソーメンを啜っていた2人にツナの突っ込みは炸裂した。
やっぱ夏はソーメンだよな、だよねーいつ食べてもおいしいやーと言いつつもソーメンを啜る2人にツナは驚きが隠せない。
そんなツナに気付いてか、奈々さんに誘われたから来たんだよと悠が答えればその後ろでツナのソーメンを用意していた奈々がいいじゃないのと笑う。
悠と雪詠は、あの数学の問題の件からよく沢田家へと足を運ぶようになっていた。
というのは、たまたま帰宅しようとした悠と雪詠に奈々が調度バッタリと出くわしてしまったからだった。
仲良くしてくれてるのね!と喜んだ奈々がよく声をかけ家に招き入れる。そのような動作を何度も繰り返しているうちに、2人は自然と沢田家へと訪れるようになったのだ。
「というかまたソーメンなの?!」
飽きたと言わんばかりに声を上げたツナに悠は不思議そうに首を傾げた。
「沢田はソーメン、嫌いなのか?」
「嫌いってわけじゃないけどさすがに飽きてきてるっていうか…。」
「別にいいじゃん。沢田君が作るわけじゃないんだし、おいしいし。」
「オレはママンのつくったソーメン好きだぞ。」
「私も好きよ。」
「まあ、ありがとう。」
奈々が嬉しそうに笑う姿を見たツナはちぇ、と吐き捨てた。
「ガハハハハハ!オレっちだよ!ランボだよ!!」
「角ぐらいちゃんとつけてこい!」
「わざとだもんね、一応なおすけど…」
窓から登場したランボはツナの指摘に顔を赤く染めながらも角をつけ直していた。恥ずかしそうなのは可愛いものの、窓からの登場とガハハ笑いはムシムシする今の時期には異常に暑苦しい。うぜえと悠は内心呟きながらもランボの登場に無視を決め込んだ。
恥ずかしそうに角を付け直しているそんなランボに、突如上から足が降りかかった。
「奈々さーん!ご馳走さまでしたー!あ、ごめん。ゴミと間違った」
「ガ・マ・ン…」
「榊さん酷ぇー!!」
何食わぬ顔でゴミと間違った発言をかました雪詠にランボは目に涙をため、ふるふると震える。
「うわあああん!!みんな死んじゃえばいいんだもんねー!」
止め処無い涙を流しながらもランボは自分のアフロ頭からミサイルを取り出し、リボーンに向けて発射させた。ツナがミサイルの登場に目を張る中、リボーンはものともせずに箸でミサイルの先をつまみ、ランボのほうへとくるりと回転させる。ミサイルは見事にランボに直撃し、ランボを連れて窓から飛び去った。
そんなランボを見ながらも悠はしみじみと平和だなあと呟いた。
全然平和じゃねー!と再び突っ込みを炸裂させたツナを横目に雪詠は奈々になにか手伝いますよ?とお手伝いを申し出ていた。
一時すればソーメンを食べ終えた悠が先に帰ると言い残し、雪詠を残して去っていき、奈々から頼まれていた食器洗いを終えた雪詠がうちも帰ろうかなと濡れた手をタオルで拭き取る。
「それじゃあうちも帰るね!」
「う、うん!榊さん、またね!」
「うん」
リビングでテレビを見ながらもだらけていたツナにそう言い残し、雪詠は沢田家を出た。
沢田家の塀を通り過ぎた雪詠の隣を、見憶えのある牛柄の子どもをおんぶした明るいオレンジ色の髪をした少年が通りすぎる。
沢田家の表札の前で足を止め、沢田と記された表札を見つめる少年に、雪詠は内心可哀想に、と呟くのだった。
 
 
入江正一
((頑張れ入江君))

 
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