2人は数学のプリントを見ながらも重々しくも溜め息を吐いた。
その溜め息には宿題のプリントがめんどくさいということも事実だがそれとは別に、もう一つの理由があった。
家路に着いていたはずの2人が立ち止まった場所は自宅――ではなくその隣の家の前。2人はあの赤ん坊、リボーンに呼び出されたのだ。
どこから漏れたのか分からない携帯アドレスに届いたメールは、ツナの部屋に来いというものでどうやらチャイムは押さなくて良いと記されていた。
それにしても、ツナとは一体誰なのだろうか、と悠は思う。
戸惑いを見せていた悠はそこで表札に記された沢田、という名前に首を傾げた。
どこかで聞いた名前…、そういえば、と思う。思い出したのはつい最近会った沢田奈々という女性。そこでようやくあの人の息子か、と納得した悠は恐る恐るも玄関の戸に手をかけた。
不法侵入にならないか大いに心配である。
お邪魔しますと戸惑いながらもゆっくりと玄関の戸を開いた悠に雪詠はこれは行くべきなのだろうか、と複雑そうな表情をしていた。むしろ帰りたいと顔に書いている。
「お邪魔します。…行くか。」
「う、うんっ」
悠の言葉にハッとした雪詠が慌てて靴を脱ぎ、悠を追いかける。
ここが沢田ツナとやらの部屋か、と1つの部屋の前で首を傾げた直後やっときたみてーだなと聞き覚えのある声がした。
いつの間にか自分らの隣にリボーンがいた。この際突っ込まないことにしよう。彼に突っ込んでいたらきりがない。
「赤ん坊…」
「ちゃおっス、待ってたぞ。」
入れと促されて2人は戸惑いながらも部屋のドアを開けた。ベッドの上に死体にも似た顔色が悪い人物が寝そべっていることはスルーしたほうがいいのだろうか。
部屋にいたのはこの部屋の主であるツンツン頭が特徴的な沢田や、学校で爽やか少年と騒がれていた山本。そして1人の女の子がいた。
「誰…って、なんで転入生の2人がいるのー!?」
「はひ?どなたですか?」
ハルの言葉にツナはハッと思い出したようにえっとと言葉を漏らす
「この2人は少し前に並盛に転入してきた子達なんだ。でも、なんで2人が…?」
「俺が呼んだんだぞ。」
「リボーン!!」
ツナは目を丸くして声の主の名を呼ぶ。その表情はまたお前かよー!と言いたげだ。
「オメーらも同じ課題出されたんだろ?」
「うん。実力を計るかなんとかで…」
「問7解けるか?」
「問7?」
リボーンの言葉に首を傾げながらも悠は鞄からプリントを取り出した。
よかったら座ってよとツナに言われ、ありがとうといいながらも筆箱を取り出した悠は問7を見た。問7の問題を見た悠がピタリと動きを止める。
それに気付いたツナが不思議そうに首を傾げた。
「氷室君、どうしたの?」
「いや、この問題…」
机に置いていた筆箱からシャーペンを取り出した悠がプリントにすらすらと式を書き上げていく。それを見たツナと山本は思わずおおっと言葉を零した。
「はひー!!すごいですー!どうやって解いたんですかー!?」
「これはねこじゃらしの公式っつーの使うんだ。中学生の問題じゃねえーな。」
「そうだったんですかー!?」
「氷室君すげー!!」
「説明、聞く?」
「え、う」
うんと頷きかけたツナを雪詠が阻止する。それより他の解こうと提案した雪詠に悠は静かに頷いた。
「悠にあんな問題聞こうとしたら駄目だよ。」
「え…っと…?…なんで?」
「悠は確かに教えかたは上手だけど、専門用語使う問題になったら面倒なの…。」
「そ、そうなんだ…」
「おい。解けたぞ。4だ」
「えぇ――!?もう解けたの!?」
「まあ、コツが分かりゃー簡単だな」
「そ、そうなの?」
おう、と悠は頷けば山本が隣から他の問題も教えてくれよと笑いながらも言う。
氷室君すげえと目を輝かせて悠を見るツナとその隣で黙々と数学のプリントの問題を解く悠。雪詠は数学は悠にやっぱり勝てないな、と関心していた。
後日、その問題は少し前まで解読不可能と言われていた問題だと知り、驚きを隠せないツナがいた話はまた別の話である。
 
 
問7
(関わった瞬間)

 
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