あれから一週間。
「うわあああ、佐之兄ぃ!!」
廊下の向かいから走ってくる聡美。
手を伸ばせば、そのまま抱き着いてきて、くるっと背中にまわった。
「総司、あんま聡美いじめんなよ」
「やだな、佐之さん。
僕はちょっと遊びたいだけなのに」
「だって沖田さん、嫌がるのにあれ近づけてくるんだよ!」
不思議に思い、総司の手元を見れば木の枝に蜘蛛がついていた。聡美は涙目で必死に睨んでる。
「ねえ、その顔たまらないんだけど」
「変態。沖田さんなんてやだ。それ早く消滅させてきてよ!」
「お前、くm「それ以上言わないで!あたしはあれを生物だなんて認めない!」
「………」汗
聡美は蜘蛛が嫌い。と頭の片隅に書き留めた。
「無理無理無理無理無理無理無理無理…」
背中で無理と連呼してる。服をぎゅっと握っている。
「総司……」
「ちぇ、わかりましたよ。そう言えば、土方さんが呼んでた気がするな」
「あ、あたしをですか?」
なに考えてんだ、この人ぉぉ!
そういうのは早く言ってよ。か、完全に怒られる…。
「どどどどうしよ、佐之兄!!」泣
「生きて帰ってこいよ!」
それだけ?可愛い妹がこんなに焦ってんのに。
肩を叩かれたかと思うと、土方さんの部屋まで一緒に来てくれた。
うん、やっぱり佐之兄だ!
覚悟を決めて襖を開ければ、これまたご立腹の鬼総長が。
開けた襖を一度閉めれば、襖が開き、土方さんに部屋に引きずりこまれた。
「佐之兄ぃぃぃ」
「兄ちゃん、待っててやるから生きろよ!」
すぱんっ!と襖が閉められた。
正面には土方さん。
あたしは素早く土下座した。
10.05.15
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