朝起きたら布団の中だった。
確か昨日原田さんと話してるうちに泣いちゃって……。
その後の記憶がない。
「おっ、起きたか。
ほら、朝ごはん。
一緒に食おうぜ」
ふたつの御前を手に藤堂平助は言った。布団をはじに寄せ、片方受け取る。
「ありがとうございます」
「おう、ほんじゃいっただきまーす!」
あたしも挨拶をして食べ始める。すごいがっついて食べる人とは知ってたけどなんか目の当たりにすると、尚更すごい。
「ん、なんか俺の顔についてる?」
「よく食べるなー、と思っただけですよ」
そう言えば目を丸くしてこっちを見た。あ、可愛い。
「あのさー、歳も近いし名前でいいから」
「えー」
「なに、不満なの?」
「いや、別に。何と無く拒否ってみた」
「うわ、ひどいよ!」
「ごめんごめん、許して、平助」
一瞬驚いたような顔をしたけど、すぐにかっと笑らった。
「今回だけだからなー」
笑いあえば、少し不安が減った気がした。
朝食も終わり、平助も仕事に行ってしまった。
「なにもやることないと暇だなー」
「よう、調子どうだ?」
寝っころがってたら視界に原田さんが入った。
「あ、原田さんだー」
ふにゃっと笑えば、手を引っ張って身体を起こしてくれた。
「あの、昨日はいろいろと迷惑かけてすみませんでした」
「ああ、気にすんな。飯は食ったか?」
「はい、平助が持ってきてくれたので一緒に食べましたよ」
嬉しいそうに話す聡美。て、あぁ?!
「おいおい、平助っていつの間にそんな関係になったんだよ」
「え、朝食食べてるときですけど…。それより原田さん、お仕事の方大丈夫なんですか?」
「今、仕事中」
「あたしの監視ですか。でも、原田さんでよかったー」
「どうして?」
「だって、此処に来て普通に話してくれてたの平助と原田さんだけだから。それに原田さんには胸の中借りましたしね」
ちょっと寂しそうに笑った。
「ったく、しょうがねえな。空いてるときは出来るだけ来てやるから、んな顔すんな」
頭をぐしゃぐしゃ撫でられた。て、痛い!髪抜ける!!
「原田さん、痛い痛い!でも、嬉しい」
「お前そういう趣味だったのか…?」汗
「違いますぅ!原田さんの優しさが嬉しかったんですー。
原田さんみたいなお兄ちゃんが欲しいぃぃ、ちくしょおおお!」
「ならこっちにいる間そう思ってくれても構わないぜ。俺も妹ができた気分だ」
「本当?!
ありがと、佐之兄!!」
「っ!」
勝手に自分の口からでた言葉に驚いた。まあ、こいつが喜んでくれたならいいんだが、その…佐之兄てのは、照れるな。
「あ、嫌でしたか?
それとも照れてます?」
「ば、照れてねぇよ!
それと俺には敬語なしだ!
わかったか?!!」
「はーい。やっぱり照れてんじゃん」
「照れてねぇってんだろ!」
血は繋がってないけどお兄ちゃんができました。
みんな優しさに肌に感じた。
あたしはこの人たちの為に何かできるんだろうか……。
10.05.09
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