トリップして異世界に来て嬉しい反面これからどうしようかと途方にくれる。
「うん、考えてもしょうがない!」
立ち上がり、伸びをひとつ。さっきまでいた倉に戻り、愛車とバックを取ってきた。
んで、その場に正座する。
「あたしをここで働かせて下さい!掃除、洗濯、家事なんでもしますのでお願いします!」
痛い!視線が痛い!!
はい、沈黙ー。せめて話そうよ。今のあたしにゃ拷問に近いぞ!
「理由は?」
「あたし未来人なんです。(本当の過去じゃないけど…)
どうしてこんなことになったのかはわかりません、未来でも有り得ないことだから。
つまり、帰り方もわからないわけですよ」
ただ黙って聞いてる彼ら。あたしは構わず話し続けた。
「生きるためには住む場所や食べ物がいる。新撰組の頓所に今いる以上何かしら関わりがあると周りから思われても仕方ない。なら出て行って切られるより、ここにいて働きながら住ませてもらう方がいいと思ったんです」
驚いてる様子もあまりない。信じてないんだろうな……。確かに急にこんなこと言われても困るよね。
「今着てるのはあたしのいた時代に通ってた学校の制服です。
持ち物とかもこの時代にないものばかりなはず。
これでも信じてもらえないですかね?」
反応がない。
やっぱりだめか……。
「信じろ、て言うほうが無理ですよね……。
すみません、ご迷惑おかけしました。他所あたってみます。
あ、ここの事とか一切言いませんから安心して下さいね。
じゃあ、失礼しました」
諦めて出て行こうと立ち上がり、自転車に向かおうとしたら手首を掴まれた。
「誰が出て行っていいと言った」
「いや、無反応だったんでてっきりダメなんだと」
「信じる信じないは置いといて、何か喋られたら困るからね」
つまり信用されてないと言うことか。
「なら、いていいんですか?」
「危険性がないかどうか確かめる」
「それは捕虜てことでいいんですかね?」
「そういうことになるねー」
「やったあああ!生きれる!!いやー、ありがとうございます」
土方さんの手を握ってブンブン振れば、変な顔された。近藤さんにも同じように握手した。
「はは、元気だな」
「それだけが取りえですから。あたし、四季聡美と言います。これからよろしくお願いします!」
異世界にいるお父様、お母様。聡美はなんとか捕虜として生き延びれそうです。
10.05.04
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