「誰かいませんかぁ!うおーい!」
こにゃにゃちは、どうも聡美です。なぜか今あたしは倉?的なところに閉じ込められてます。
え、なんで曖昧なんだって?
学校から家に自転車で帰ってたはずなのに気付いたら瞬間移動したみたいにここいたんだよね。
おかげで盛大に棚と衝突したよ。ちくしょー、痛かったんだから!
で、今に至る。
「だああ、もう疲れたー。休憩しよっと」
棚にどかっと寄り掛かれば、眠気が襲ってきた。
気付けば小窓の外は薄暗くなっている。
「寝過ぎた…」
じゃないよ!このままずっとここにいるなんてごめんだ。
「誰かいませんか!開けてぇ、てか女の子が助け呼んでんだから誰か気付きなさいよ!!」
戸を叩き、叫び続ける。いい加減イライラしてきた。
「こうなったら壊してでもでてやる」
あたしは倉の中に何かないか探し始めた。
***
「新八っつぁん、さっきから倉で変な音するんだ。ちょっと行ってみねぇ?」
「ふぅん、僕も行こうかな。なんかおもしろそうだし」
「総司、てめぇ執務まだ終わってないだろうが」
「そう言わずに。なら、みんなで行ってさっさと確かめちゃえばいいじゃない」
総司の言葉に頷く者たち。まわりを見れば各組の隊長たちが集まっている。
「近藤さん、あんたもか…」
「いいじゃないか、歳。なにもなければすぐに終わることだ」
「はぁ…わかりました、ならさっさと行ってすましましょう」
***
「あかないぃぃぃ」
なんで?!泣きたくなるよ、まったく。
「ああ、もう!いい加減だしなさいよっ!!」
ダンッ!!
「!……なんかいるみたいだぜ」
「じゃ、開けてみよっか」
「慎重にやれよ」
沖田と原田で戸を開けた。
「誰もいないみたいだね」
「……誰もいない?ずっといたわ、あほんだらあああ!!」
誰かよくわからないけど、戸が開けてくれた。感謝しなきゃいけないけど、あれだけ救助を呼んだのに今まで気付いてもらえないことへの怒りが勝った。
あたしは飛び蹴りをかますとブチ切れた。
「貴様らの耳は飾りか、あ゙ぁん?」
「ってぇ…いきなり何すんだよ!」
「おい、さっき言ったこと聞いてなかったのか?こんな埃っぽい、わけわからんとこで何時間も閉じ込められりゃ誰だってキレるわ。あ、でも、開けてくれてありがとう。貴方たちが来なきゃずっとこのままだったのよね、うんうん。はー、すっきりした。いきなり蹴ってごめん、大丈夫?」
手を差し出して、あたしは固まった。
「おい、どうした?」
「…いやー、あのつかぬ事お聞きしますがここ何処ですか?」
「新撰組頓所だけど」
がごんっ!
壁に頭をぶつけ、うなだれる。
過去にトリップしちゃったよ。ちらっ、とさっきの人たちの方を見る。さっきあたしが蹴ったの永倉新八だよね?しかも薄桜鬼の新八っつぁんだよね?
もう最悪!よりによってメインキャラ蹴るとか。それよりこれからどうしよう。過去は過去でも二次元だし。
いきなり暴れるかと思えば、急に今度は落ち込みだした。
「女の子がそんなに頭ぶつけちゃダメだよ」
男ならいいのか?というツッコミは置いといて、目の前には薄桜鬼の原田佐之助。
ああ、本当にトリップしたんだ。ここには家族も友達もいない。住む場所も行くあてもない。
いるのはあたし独り。
「……あ、りがと」
ため息をひとつ。そのまま力なく座りこんだ。
あたしはこれからどうすればいいんだろう……。
10.05.04
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