衝動買いだって?
違うよ、必要だから買ったのよ








「筧くーん!」


「んな大声で叫ぶな、恥ずかしいだろ!」




放課後になって部活に行こうとしたら、廊下でなずなに呼びとめられた。




「ちょっと美奈たちと買い物して帰るから遅くなると思う」


「金どうすんだよ」


「これキャッシュカードみたいでさ、使えるのよ」


「気をつけろよ。後、遅くなったら電話すること」


「はーい。アメフト、頑張ってね」




じゃあ、と手を振り走り去った。俺は合流した水町や大西、大洋と部室へと急いだ。






いつも通り練習を終えて、部室でシャワーを浴び、着替えてると携帯がなった。着信はなずなさんから。




「もしもし」


「あ、筧くん?もう部活終わった?」


「今着替えてるとこだけど」


「あたしどこにいると思う?」




なんか嫌な予感がする…。




「家じゃないのか」


「ハズレ。巨深高校のアメフト部部室前」




時計はもう21時を指そうとしてる。




バタン!




部室のドアを開ければ、




「なに考えて…」


「先生をお迎えにあがりました」




なずなさんは携帯を閉じて、俺を見た。




あたしは朝着てた制服と違い、膝丈のスカートに半袖のTシャツを着て、上にパーカを羽織ってる。足元は低めのパンプス。




「あのカード使えたんだ。これもそれで買いました。おかしいかな?」


「いや、似合ってる……じゃなくて!こんな夜中に独り出歩いたら危ねえだろ」


「まだ21時前だし大丈夫だよ、帰りは筧くんいるし」


「そういう問題じゃ…」


「なになに筧の彼女かー」




奥から様子をみていた先輩たちや水町たちがうじゃうじゃと出てきた。




「彼女じゃないですよ、同棲はしてますけど」


「よっ、なずな」


「よっ、水町くん」


『て、ええええ!!』




普通な反応だよね。




「筧先生と同棲なんてこの1番弟子の僕が許さないよ」


「うおお!筧先生の1番弟子は俺だ!」




W洋の喧嘩が始まる。とりあえず小判鮫先輩たちを集め、筧君の家に行ってからのことを一通り説明した。




「そうだったんだ、じ、実はこの前から気になってたんだけど……こ、後輩に任せたほうがいいかなーって…」




生で見たよ、セナ並のきょどりっぷり。




「小判鮫先輩、なずなさんをマネにどうですか?」


「え…いや、俺はそのー」


「渋谷はあれで3日に1回くるか来ないかだし、なずなさんがよければですけど」


「是非やらして下さい!!」




これでいろんな人に会えるチャンスが増えたぞ!




「じゃ、じゃあこれからよろしくね」


「はい!」




念願のマネにまでなれるなんて、あたしは相当ついてるかもしれない。